毒素感傷文

院生生活とか、読書の感想とかその他とか

放送大学大学院修士全科生1年目終了記

こんにちはこんばんは。早くも修士課程1年目が終わろうとしています。

年度の終わりに月まとめと同時に年度まとめもできたらよいなと思っていたのですが、ネタを思いついた(?)ので色々書いていこうと思います。

 

その前に、とてもよくまとまったスライドを目にしたのでシェアします。

NAIST奈良先端科学技術大学院大学)の情報系教室でのもののようですが、あらゆる分野に通ずるものであるかのように感じられるので、自分の分野(に近い)方にも読んでいただけたらと思います。

speakerdeck.com

ArXivとか耳慣れないツールがあるかもしれませんが、これは情報系の査読なし(自由に上げられる・オープンソースで一般の閲覧がある種のピアレビューになっている)論文公開サイトです。情報系に関する数理・工学あたりの手広い論文が集まっているイメージがあります(間違っていたらごめんなさい、私は情報系にそこまで精通していないのでこのサイトを使いこなせていません)。

 

このスライド中ではM進する予定の学部生~M1くらいで役立ちそうな、なおかつ実現可能なことが書かれており大変ためになります。この実現可能性が何より大切で、かつ有意義であると自分は感じています(できないことの情報を集めてもあまり意味がない)。

 

 

というわけでブログはもうここまででもいいような気がするのですが、以下に自分の現況(というか1年間にやってきたこと)と、その前提になっていたことについて書こうと思います。よく考えると書いたことがありませんでした。誰かの何かに(曖昧すぎ)なれば幸いです。

 

 

1.1年間で学んできたこととその環境

研究室の属性

自分は看護師ですが、看護学の分野の指導教員にはつかず、かつ1年間研究室に看護のひとはいませんでした。ただ、コメディカルの多い研究室で、他職種の方のお仕事や着眼点、研究内容はとても参考になりました。

放送大学においては狭き門である博士課程の方も在籍しておられるので、その方々と指導教員のディスカッションを見られることも今思えば大変大きな糧になっていたと思います。

 

研究室で得られた情報

統計解析ツール、英文校正、論文の書き方などについては初歩的な情報を集めたリソースがあり、そこを見ながら諸々研究活動に必要な情報を集めていきました。作ってくださっていたのはほぼ100%指導教員で、たまに便利なものがあると研究会の最中に提案して共有してさらに充実するというシステムをとっていました。

 

研究室・研究会のスタイル

ウィルス禍であったこともありますが、すべてオンラインで行われました、実地のデータを取ることができず苦心されたゼミ生もおられます。自分の場合はもともとテーマが机上でほぼ完結するものでしたので、引きこもりでも研究を進めることができました。

研究会は月に1回、先行文献や進捗内容の発表をする形式です。これはM1~D3まで同じでした。それぞれについて指導教員からコメントとディスカッションがあり、論文投稿や学会発表についてもどんどん勧められ、自由にできる環境でした。

 

放送大全体の方針

年に2回(半期ごと)にレポート提出がありますが、課題内容については各研究室で教員に任されている状態でした。月1回のゼミ発表をまとめると凡そレポートとしても十分な出来になる内容であり、これに関してはさほど苦心した覚えがありません。出せば大丈夫です。

 

諸々の作業時間

実は作業時間を1年間計測しておりました。非常勤で仕事をしていることもありますが、コンスタントに3時間/日を維持しているようです(院生として短すぎる気もする)。調子の波が大きいので、持続可能であることが大前提であり、修士についても「とりあえず出る」が最低限の目標です。

 

読んだ論文・文献の本数・冊数

参考にはなりませんが、さきほどのスライドでいう「速読」にあたるものは200を超えると思います。これは自分の研究の性質上そうなるのが当たり前であり、あまり意味のない数字です。8割以上が倫理に関するものです。

一方、「精読」にあたるものは...20~30にいけばいいくらいです(少ない...)。

成書に関しては通読したものを参照したり技術書であったり教科書であったりとこれもあまり参考になる数字ではありません。数十冊くらいです(適当)。技術系・データ分析系が10~20冊、倫理に関するものや質的研究に関するものが20~30冊とかそれくらいのような気がします(ブクログを確認する限りは)。実際に使ったものは勿論もっと少ないです。

 

その他自主的な勉強会

誘っていただいて2つほどダイレクトな分野ではない勉強会に参加しています。ひとつは「合意形成理論勉強会」、もうひとつは「トラウマケア研究会」です。そして修士課程に進む以前から続いている「知覚の哲学入門読書会」もあります。

これが直接修士課程に何か関連するかといわれると微妙ですが、単純に学部~修士(場合により博士も)くらいの方とお話しできるのが嬉しいです。

 

2.1年間の成果(と進捗状況)

学会発表(オーラル)1回

指導教員におんぶにだっこで、そろそろ今の成果を出せるのでは?とコメントがあり、抄録をA4で2枚ぶんほど出して口頭発表をしました。なお、別の記事にも書きましたが自分の分野にはまったくかすっていなくて(それでも許されるゆるい小さな学会です)、練習がてらという感じでした。それでも自分にとってはかなりありがたい環境です。

 

奨励金(申請しただけ)

出しました(出しただけ)。研究計画というものを院試以来書いていなかったので、自分の研究を外に出す訓練になりました。最初に貼り付けたスライドにも同じことが書かれているのですが、奨励金や学振の計画書は書くだけ・出すだけでもそれ自体が練習になります(なりました)。

あとは推薦状を他所属のアカデミアの方にお願いするなど、手続き的な部分でも学びがありました。

 

共同研究計画の申請(進行中)

どれもこれも途中やんけと言われそうですが、ええそうなんです...

次のテーマに向けて倫理審査どころか研究契約を他機関と結ぶためにあれこれしています。これに関しても初めてのことだらけで、事務手続きはなんとも煩雑なものなのだな...と思っております。

 

3.修士課程前・修士課程での方法論的な学びについて

このことについてあまり書いてきませんでした。メモがてら(と、情報提供がてら)書いておこうと思います。

研究計画とのちの研究に使えた学部科目(一部)

よくあることですが、結局ひとつめの研究テーマに関しては当初の院試提出時には計画していなかった手法を用いました。そのベースになる方法論については研究会での発表用に探した文献もありますが、知識そのものは学部のときに得ていました(基礎の基礎ですが)。

自分が単に修士課程であまり根を詰められないと感じたので事前に準備をしていたのと単に事前に得た知識に興味が深まって実際に使ってみたいと思ったのと両方が動機ですが、言語処理(放送大の学部科目では『自然言語処理』『数値の処理と数値解析』『計算科学の手引き』『入門線型代数』『デジタル情報と符号の理論(現在は「情報理論とデジタル表現」)』あたりが役に立っています)とデータ分析(『データの分析と知識発見』)に関しては院試を受けた年に授業を取っていました。

当時は放送大科目群履修制度の要件を満たすためにも必要だったのでとっていたのですが、後々役に立っています。

 

修士課程中に得た学部科目以外の知識

自然言語処理をしたかったのでそれらしい(?)本を数冊買い求め、学部でのデータ分析や自然言語処理のテキストと見比べながらえっちらおっちら進めておりました。

しかし今のところ直接研究では(技術的には)ほとんど使っていません。今からです...

 

研究計画までに知っていたこと

これについて書いていないとなんとなく片手落ちになるような気がするので書いておきます。

統計(の、ごく一部の多変量解析)

これに関してはのちに深く知ることになっているのはごく一部で、実際の知識は統計検定でいえば3級程度だと思われます。修士前後で2級相当の知識が欲しかったのですが結局一部で解析の知識が必要になってきたので社会統計や疫学からはちょっと遠い領域です。

数学(ベクトル・行列)

数学ガールの秘密ノート』で心のハードルを下げていた程度の知識しかありませんが、これがあったことで後々データ分析をするようになって非常に助かりました。学部科目の『入門線型代数』で必要になったところが大きいです。ちなみに微分積分・統計・数列の巻も持っているのですが、直接役に立ったかというとそうでもなく、今は他の本に依存している状態です。

 

社会学言語学

これもごく初歩ではありますが、事前に少し知識がありました。社会調査(教育社会学のもの)と統語論・内容分析(と談話分析)あたりが礎になってくれて、いくつかの文献を読むために下支えになりましたし、「突然○○が出てきて面食らう」という機会をいくらか回避させてくれたと思います。

 

 

 

というわけで今回の記事はこれで終わりです。

新しいテーマでの学会発表とか論文投稿とか脅されている(被害妄想)ものはあるのですが、つよつよになれない院生なので自分なりのペースでやっていきたいと思います。