毒素感傷文

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放送大学2020年度前期授業評

異例尽くめだった2020年度前期が終わりました。

 

試験方式について

放送大は対面式の試験を実施せず、またWeb上での試験監督も行われなかったため、各自で試験規則を遵守するという非常に自由度の高い状態で試験が実施されました。恐らく背景には、通信機器に不慣れな学生や双方向の通信環境を確保できない学生が多くいることや試験手続きの煩雑さからトラブルが多発することが予想されていたことがあるかと思います。たしか5月には既に対面で試験を行わないことが決まっていて、後知恵ではありますが英断であったと思います。

 

授業について

放送大以外の一般大学の場合は授業も不慣れなWeb環境で、教員・学生共に大変な思いをなさっていたことが自分にも伝わっておりました。元々放送形式の授業を行っている大学としてはこれが一般の形式なのですが、確かに出席確認や双方向の形式の授業を行うのは難しいですね。

自分の場合はこれに加えて大学院の研究会が加わっており、教員とも他院生ともWeb上でしか顔を合わせないまま研究が進んでおります。

 

前置きが長くなってしまいましたが、今期の授業について一言感想を書いていきたいと思います。

 

学部科目

自然と環境コース

入門線型代数('19)(再試)—A〇

前期、Dで落としてしまったのでもう1回頑張りました。

頑張りました、が、相変わらずベクトル固有値の計算とか行列式とか未だによくわかっていません............それはわかっているとは言えないのでは...............。

教科書が悪いわけではまったくなく、単に自分が時間をかける余裕がなかったのと理解が遅すぎるのと理解力がなさすぎるだけです。教科書的に難易度はA~Cまで区分けされていて、基礎レベル(定義や原理の説明)から発展レベル(証明とか)です。

数学が苦手な人はCはパラ読みでもいいから、Aをしっかり理解してくれと前書きにあります。

また、上位科目として『線型代数学』があるので、より深い内容はこちらでできるのかと思われます。

自分はこの教科書だけではまったく中に入っていけず、いつもの『数学ガールの秘密ノート』(結城 浩 著, SBクリエイティブ)の手を借りました。

こっちと教科書を行きつ戻りつして漸く計算方法などなどを理解していった感じです...

 

情報コース

データの分析と知識発見('16)(再試)—A

既に同名の後継科目のある科目ですが、再試験だったので受けました。この科目だけはほんとなんで落としたのかいまだにわからない(愚かなだけでは)。

記述統計と推測統計、データと手法の扱い方が載っているので、他の統計科目と併せてとても良い教科書だと思っています。ただ内容が内容だけに教科書1冊では収まりきらない部分が多く、わからなければキーワードを手掛かりにネットで検索したり他の教科書と比較しながら学んだ方がわかりやすいのかなぁ、とも思います。放送授業をまったく聞かずに教科書で学んだからかも知れませんが...

プログラム言語はRを使っているので、言語にそもそも触れたことのない人はちょっと面食らうかもしれません。自分は個人的にちょっとだけ触っていたのでなんとなくで乗り切ってしまいました(よくない)。

 

記号論理学('14)—A〇

ずっっっっと取りたいと思っていた記号論理学、ようやく取れました。嬉しいです。今まで試験時間が様々な科目とかぶってとれずにいたのです...

教科書を書かれているのは数学サイドと哲学サイドの先生1名ずつです。2/3くらいは恐らく結構古典的なもので、タブローによる妥当性検証ができるようになるまで。残り1/3くらいが、それを部分的に自然言語にあてはめた場合にどんな記述になるかなというスタイルです。

 

大学院科目

生活健康科学

アカデミック・スキルズ('20)—A〇

修士の全科生しか取れないオンライン科目ですが、論文を書くにあたり、論文を読む/書くということに関する基本的な解説を受けられる科目です。各回ごとに小テストがあります。

レポート課題は研究ゼミごとに異なるとのことです。

授業内容はEnago Learnとかに近いものがあるかも知れません。

 

ヘルスリサーチの方法論('19)―A〇

学部科目では『心理学研究法』『社会調査の基礎』等が近い科目ですが、これを保健分野で解説したものです。別に学部科目でもよいのでは?と思いましたが言ってはいけないのかもしれない。

統計的な方法も勿論用いられますが、保健分野はナラティブ・アプローチと呼ばれる個別の物語性・特殊性に着目した記述的な参与観察研究があります。

保健分野に特化した方法論の教科書なので、回り道をしたくないのであれば大学院に進学された方がこの科目を取るのだろうなあと思いますが、確実に他の科目も取ったほうがいいであろうなとは思います。

 

精神医学特論('16)—A〇

大体専門学校で学んだことへの付け足しというかほぼママでした。

特にコメントはありませんが、教科書はわかりやすいですし、臨床心理プログラムに属される方のコメントで「過不足なく網羅されている」とのことでした。確かに臨床心理を知るにあたり医学的なものの見方は欠かせませんし、これまでに保健分野の知識がない場合にはかなりよい科目であったと思います。

 

福祉政策の課題('18)—A〇

個人的にとても好きな科目でした。保健医療福祉の政策にとても興味があったので優先して取りましたが、想像以上によい学びを得られたと思います。

通信指導・試験も共に充実した課題が提示されて自分としてはレポートを書いていて一番嬉しかった科目です。試験が記述問題だったので、A〇とれて嬉しいなあと素朴に喜んでおります。

 

人間発達科学

教育文化の社会学('17)—A〇

教育社会学に興味があったのでとりました。特にコメントが出てこないのですが(今までに関連文献はそこそこたくさん読んできたので...)、教育に関する近代の歴史について解説が多かったのはよかったです。学部の科目『教育社会学概論('19)』より発展的な科目なのかなあと思いましたが特にそんなこともなかったです(若干残念)。

 

臨床心理学

心理・教育統計法特論('15)—A〇

因子分析について詳しいのがよかったかなあと思います。

学部の『社会統計学入門(現在は'18)』『データの分析と知識発見(現在は'20)』と大体範囲が被ります。

 

社会経営科学

公共政策('17)—A

難しそうだなあと思いつつとってみてよかった科目です。歴史と経済の観点を含みつつ政策の各分野を学ぶ科目です。「政治学」というよりは「政策史」の側面が強いかもしれません。

 

公共哲学('17)—C

なぜかわかりませんが今回一番気に入らなかった科目でした。

気に入らないと書いたのはこの科目が役に立たないとか的外れだとか言うわけではまったくなく、教科書としてはバランスが取れていて優れたものであると感じられたからです。特にロールズノージックの比較、アーレント政治学などは突っ込んで書かれていて、復習以上に学ぶところがありました。

しかし見ての通り評定が低いのは通信指導も同じで、Cであるうえに「解答が的外れ」とのご指摘でした。自分が問題文の意図を読み違えただけともいえると思いますし論の構築や理解が甘かったのであろうとは思われますが、出題文の意図を把握しかねるのがこうも固定の仕方だとなんかカチンときます(傲慢)。他の記述問題で問題文に対する応答が悪くないことは確認しているので、私の理解が甘いか出題者の意図を読みかねているのか出題者自身が欲しい答えに対して問題文の設定を斜め上にしているのかとか思ったんですが自分は最後の選択肢だと(勝手に)思っています(どこまでも傲慢)

いやまあ妥当なところで、自分が斜めに読んだだけなのでしょうけれども。公共哲学は自分が好きな分野のひとつなので、こうも読み違えたとなるとどこでやり直すべきなのかと考え込んでしまいます。(放送授業聴いてないのが悪いんじゃんとか言ってはいけない...)

何度も申しますが教科書はまったく悪くありません!!良書であると思います。

 

社会的協力論('20)—A

今回とった中では結構トリッキーに思う科目でした。社会協力、企業活動のみならずNPONGO、地域の自治組織の活動などの類型を解説・評価していきます。

ちなみに自分はこの教科書の先生のお話を実際に聞く機会がございました。それは院試の説明会だったのですが、話長いけど熱意がよく伝わってくる先生でした。話長いけど(2回も言うな)

 

都市社会構造論('18)—A

『都市と地域の社会学('18)』という学部の科目と同じ先生です、正直学部の科目とあまり差を感じなかったのですが...都市の理論的側面の解説が多いです。

 

自分にとっての総評、次回の計画

これでひとまず大学院の卒業に必要な履修教科を達成しました。もっと心理学系の単位を取ろうかとも思っていたのですが、試験時間の重複が多かったために興味が優先になり、社会経営科学の科目が約半数になるという「何目指してんねん」みたいな状態です。

 

心理学で取るとしたら、『現代社会心理学特論』とか『成人発達心理学特論』とかになるんでしょうか。ただ、正直シラバスを読んでいると今までに成書で学んできたことの焼き直しなので、履修したという何らかの証明のためだけにとるような感じになるんですよね。修論がどう転ぶかまだわからないので多分しばらくはとりません。

『人的資源管理』『経済政策』を今後取ろうかなあと思っています(また社会経営プログラムの科目ばっかりじゃん)。あとは生活健康プログラムのオンライン科目で、看護師の特定行為総合科目があるのでえっちらおっちらそれをやってもいいのですが...これも得るものがあるかと言われるとそこまで...悩ましい。余力次第ですが今回は見送るような気もします。

 

学部の科目は『データベース』だけです。これも自分がやっていることにそこそこ近いというか必要なのと、エキスパート『データサイエンス』の必修残り1科目なので次回入ります。

 

達成事項

放送大学エキスパート(科目群履修認証制度)

数学と社会 〇

とうとうやりました、入門微積と入門線型代数結局どっちも1回落としたしとても長かった...!!その2科目をやるためだけに2年かかりました(本当に)。他の科目は別の機会で着々と揃えていったので、必修のこの2科目が本当にしんどかったです。確かに解析のために必須

 

計算機科学の基礎 〇

これもデータ分析・線形代数記号論理学あたりをとったことで達成しました。

 

データサイエンス △

必修が他の科目とかぶってとれていなかったので、『データベース』を取ると達成です。

 

あと、9月に延期になっていた看護の学位審査があります(ちょっとした小論なんですが...)

 

修論以外にもなんらかの目標を見つけないと修論自身が進んでいかんなと思っている今日このごろです。ではまた。