これ選ぶの結構大変でした。
「なぜ読んだか」「どういう人におすすめか」「100冊読んだあとの自分にとってはどういうものか」というのも付け加えておこうかなと思います。なお読んだ順に1から並べるので、順位とかはありません。
1.利己的な遺伝子 増補新装版(リチャード・ドーキンス)
- 作者: リチャード・ドーキンス,日高敏隆,岸由二,羽田節子,垂水雄二
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2006/05/01
- メディア: 単行本
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実は記念すべき第一冊にしたのがこの本でした。読み始めたのは3月なかばだったでしょうか。結構数式だらけで四苦八苦した覚えがあります。そして読んだあとに書いたのがこちら。
ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』と並んで結構自分の中の基本になった本。
実際これは誰にオススメできるかというと誰というわけでもないのですが、しいて言えば『社会で生きることに困っている・悩んでいる人』と言い換えてもいいかも知れません。読んで何が楽しかったかといえば、自分のことを一個の人間として表現するときにすぐ『個体』という言葉を使うようになったことでしょうか。メタ的な視点でみたいとき、ひとつの生命体の最小単位としてみたいとき(本書の中ではそれは遺伝子にあたるのですが)の限界の表現。
100冊読破をしていて、たぶん最初の数冊にはこの人の名前と、そしてこの『利己的な遺伝子』というワードが出てきました。それほどまでに、ほかの人間に印象と影響を与えたものだったというのにもまた嬉しさがあります。読了後の本について未読の本が語っているとたいへんうれしいものです。
2.病の皇帝「がん」に挑む ― 人類4000年の苦闘(シッダールタ・ムカジー)
この本も、読了後に別でブログ記事を書きました。
読み返してみると結構いろんなことを書いているので、もうここに多くは書きません。
オススメとしては、『非医療職の方』『公衆衛生・医療政策に興味のある方』に是非、というかんじです。全体的にアツい戦いが繰り広げられています。
3.マネジメント(ピーター・F・ドラッカー)
- 作者: ピーター・F・ドラッカー,上田惇生
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2001/12/14
- メディア: 単行本
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友人の会社員の方が読んでいらしたので、いつか読みたいなあと思っていた本。もしドラはあまりよくないぞという父の感想を聞いていたので、あえてこちらを読みました。エッセンシャル版なので全部項目別ですしすっきり読めます。下手なビジネス本を読むくらいならこれを読めばいいと思います。マネジメントって組織を運営するひと、コンサルトされる側の人が読むものというよりかは、この程度なら組織であくせく働いてるなあと思う人たちの方が一読の価値がある。
と、いうわけで新社会人の皆様におすすめです。
4.誰のためのデザイン?(D.A.ノーマン)
誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論
- 作者: D. A.ノーマン,岡本明,安村通晃,伊賀聡一郎,野島久雄
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2015/04/23
- メディア: 単行本
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これは文句なしにオススメです。デザインには昔から興味があったのですが、ひとくちにデザインといっても対象・象徴性・視認性について考える必要があるなあと思わせてくれた本。
デザインに興味がある人はもちろん、意外にもこれは『臨床ではたらく人』つまり私たちの業界のひとにこそ読んでほしいです。分厚いけれども、軽妙な語り口ですからすいすい読めます。哲学書で同じ厚さだとたぶんまったく歯が立ちません。
リスクマネジメントに関する話が出てきたときには「そう!それ!!!」と膝を打ちました。本当に良かった。
5.哲学用語図鑑(田中正人)
哲学の本読もう!けど、何読もう?と思ったときにこれを買いました。書店でぱらぱらめくってみて、面白かったので。
哲学の小難しい言葉の定義とかはまあともかく、全体の流れが年表になっているので「どの哲学者がどの時代にどの背景からどういう思想をもったか」がなんとなくわかります。今から哲学の本を読んでみたいけど、どれから読んだらいいかわからない人へのプレゼントになると思います。本の帯には『必修科目』とかビジネスパーソンに、と書いていますが正直これを読んだだけで哲学がわかるなら苦労はしません。世の哲学の徒たちが握り拳を振り上げてしまいます。いけません。
6.虚無感について-心理学と哲学への挑戦(V.E.フランクル)
本当は『夜と霧』をお勧めすべきなのでしょうが、今回は100冊読破の中からなのでこれを。精神科の医師(教授です)であり、ユダヤ人だったがゆえに大戦時強制収容所にいた経歴のある方。カール・ヤスパースと並んで実存分析哲学に重きをおく人。
これは、若者に勧めたいです。大学生。大学生になる前のひとたち。20前後で、生きるのがつらくて仕方ない人たちへ。上記の解説だと「つらいひともっといるよ」みたいになりそうですが、違います。生きることそのものを肯定したいときのための本です。自分で肯定できないのなら、誰かに肯定してもらってください。
7.正直シグナルー非言語コミュニケーションの科学(アレックス・ペントラン)
これはね!面白いです!誰にオススメかというと『コミュ障』です!コミュ障のみなさん読んでくださ~~~~い!!!!
と最大限に煽ったところですが普通に真面目な本です。でも結構すいすい読めます。私もコミュ障なのにコミュニケーションが主軸となる仕事をしているのでたいへん面白く読みました。認知心理学と神経科学の本です。
8.デザインの骨格(山中俊治)
ICカードのタッチパネルのデザインを作った方の著書。面白かったです。アイフォンを解剖するところから始まります。
デザインに興味のある人には勿論ですが、プロダクトデザインとかユーザーインターフェイスに興味のある人にもおすすめ。
あとガジェット好きの人。
9.環境デザイン講義(内藤廣)
建築家かつ一時期東大で教職をされていた方の本。本というか、特別講義の内容を編集したもの。
誰にオススメかというと非モテ。というと語弊がありますが途中に空間デザインの構成要素が出てくるんですよね。で、光の項目になると「人をよく見せる」「人を口説くためのライトアップ」の話が出てきてたいへん面白いんですがそれを建築の一連の講座の中でやるのが面白いなと思って。しかも開催場所は東大。笑えない。
デザインを生業にする側の人間ってそう多くはないのですが、人は家に住みますし内装は(よほど内装に凝るか、お金持ちでない限りは)自分で整えることになります。それをするにあたって参考になるかも知れません。目指せオシャクソ自室。
10.もうすぐ絶滅するという紙の書物について(ウンベルト・エーコ/ジャン=クロード・カリエール)
- 作者: ウンベルト・エーコ,ジャン=クロード・カリエール,工藤妙子
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 2010/12/17
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最後を飾るにふさわしいかと思って選びました。これは実は万人にオススメとはちょっといいがたいかもしれない。
100冊読破するにあたって結構重要な指針になりました。ふたりとも古書・稀覯本の蒐集家なんですが、ひどいところに至るとダンテの『神曲』を全部読む必要があるかとか、何年発刊の本に誰の書き込みがあるだとかそういう話になるんですよね。
読書行為について、それが『何を読んだか(読まなかったか)』で批判・糾弾されることのないようにあってほしいなと思わされました。
あまり多くはないと思いますが、私の一連の行動で100冊読破をはじめようと思ってくださった方がいらっしゃるのであれば、ぜひとも肩の力を抜いてはじめていただきたい。