- 作者: リチャード・ドーキンス,日高敏隆,岸由二,羽田節子,垂水雄二
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2006/05/01
- メディア: 単行本
- 購入: 27人 クリック: 430回
- この商品を含むブログ (188件) を見る
正直感想文ほど苦手なものもない。いや書評はもっと苦手なのだが。
何故かというとそれは多分私が非常に不真面目な読者であるからなのと思う。
本に線を引きたくないし、かといって大事に何度も読むわけでもない。
だから本を読むにも実に不真面目な読み方しかできないんである。好きな部分しか覚えていないし、概略できるほど読み込んでもいない。以降好きなことしか書かない。すまん。
▼ESS(進化的に安定した戦略)について
・・・つまり、我々の個としての体は遺伝子(それも自己複製する性質をもつランダムなソースから生まれたなんとも単純なプログラム)の淘汰の末乗られているヴィークル(乗り物)に過ぎない、というところから話は始まる。
私にとってはそれはとても、本当にとても安心できる設定なのだけど。世に個性だとか自己同一性を確信しているひとがどれくらいいるのかわからないが、きっと私は見事にそういうものを一切信じていなかったんだろう。
『銃・病原菌・鉄』が好きである種人生の指針ともなった身としては、『利己的な遺伝子』はよりシンプルでわかりやすい。
個が個であることをやめた瞬間に、個は個性を主張しはじめるような、そんな矛盾をも感じて楽しくさえある。読んでいて一貫して思ったのは、大好きな攻殻機動隊からのセリフ引用でした。
人間が人間であるための部品が決して少なくないように、自分が自分であるためには驚くほど多くのものが必要なの」――草薙素子
▼『人間が人間であるための部品』としてのミーム
ミーム!
行き詰っていた言葉にひとつ出会いました。
言語の由来や使われ方に行き詰ることが多くなって以来、久々にこんなに長たらしくきちんとした説明を聴かされた気がします。
人間が人間であるためにミームを遺伝させる、というのが面白い話なんですが。
つまりざっくりと本の内容としては
①『遺伝子』を自己複製子として定義し、数学的で一切迷う余地のない論理に落とし込む
②『遺伝子』の淘汰について、より安定的な進化を遂げるための方式をいくつかから編み出していく
③その安定的な進化が「ミーム」という自己複製子に応用さるるか
という話だと受け取って私は楽しんで読みました。
勿論内容自体はめちゃくちゃ濃いですし昆虫や生物の不思議な習性も好きなので楽しく読んだのですが、そう帰結するのかーそうかー、という感じでして。
何より全体として面白かったのは、原著が1970年代初版なのに対して増補されている部分が全文の1/4程度を占めるということですよ、もうどれだけそれまでに苦労があったんだろうかと想像してもしきれません。それゆえともすれば愚痴っぽいあいやごめんなさい語り口が疲れているところもあって、軽妙でとんとん読ませてくれる箇所もきちんとあったのです。
というわけでそこまで本の虫でない私でも読了できましたし、なかなかに面白かったです。数学の素地ある方ならゲーム理論とかナッシュ平衡が出てくる時点でわくわくしたりできるのではないでしょうか。私は映画の「ビューティフル・マインド」で知っている程度なのですが・・・・。
▼というわけで
進化的に安定な戦略を目指してES書く就活生にESSだ。
いいか、「気のいいやつがいちばんになる」んだ。
サムいシャレに怒ったりしてると自己複製子を残せないぞ。
もう自分で書いててあまりにもつまらないからやめる。おやすみ(夜勤明け)