1.現代都市理論講義(今村創平)
都市理論の潮流を俯瞰しつつ、都市構造についての概説もしてくれる本。何より読みやすいのも魅力。
未だにジェイン・ジェイコブズの本は読んだことがないのですが、彼女の都市理論における立ち位置がかなり明確になったように思います。自分は近代都市理論よりはすでに現代都市理論にどっぷり浸かっているので、この本の方はたいへんによかった。
2.ホモ・サケル-主権権力と剥き出しの生(ジョルジョ・アガンベン)
- 作者: ジョルジョアガンベン,Giorgio Agamben,高桑和巳
- 出版社/メーカー: 以文社
- 発売日: 2007/04/10
- メディア: 単行本
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『裸性』が好きだったので読んでみたのですがわりと限局的な本でした。政治的文脈、とくに虐殺や倫理的境界のまだ定まっていない領域における身体の権利についてという感じ。往時におけるいのちの定義がみえるような本です アーレントはわりと批判されている…
3.進化する都市:都市計画運動と市政学への入門(パトリック・ゲデス)
タイトルに惹かれて読んだけど初版が100年前の本でした。こちらは現代都市理論ではなく近代都市理論。産業革命以降都市計画がどんな風に実施されたかを、イギリス・ドイツをモデルに展開していく。計画的な都市のメタボリズムとジェントリファイがなされるわけですが、アンチ・ジェントリフィケーションともいえる現象がおきる。
それが大都市圏におけるスラムの発生と公衆衛生の危機なんでしょうが、合目的的に行われるジェントリフィケーションについてはかなりむかしによんだニール・スミスの『ジェントリフィケーションと報復都市』の方がよほどわかりやすいし読みやすい(地域限定的なのでそういう読みにくさはありますが)。
なんというか、古き良き古典。
4.リアル・アノニマスデザイン:ネットワーク時代の建築・デザイン・メディア(柳原照弘)
わくわくしながら読めました!日本の若い人のためのデザイン読本、っていう感じがあります。対談集ですが、『批判的工学主義の建築』の藤村龍至氏がインタビュアーだったので嬉しくて読みました。なかなか面白かった。プロダクトデザイン・都市(建築)デザイン・メディアに関わる人たちが何を考えどう関わってきたかの軌跡。
私が読みたかったのは建築デザインのところなんですが他の部分もまあまあ楽しいです。強いて言えば、やっぱりメディアを扱う項目はふわっとしがち。
5.死すべき定め-死にゆく人に何ができるか(アトゥール・ガワンデ)
これに関しては別記事を書きました。
構造をほどいていく-緩和ケアについてのあれこれ - 毒素感傷文
6.存在の大いなる連鎖(アーサー・O.ラヴジョイ)
- 作者: アーサー・O.ラヴジョイ,Arthur Oncken Lovejoy,内藤健二
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2013/05/08
- メディア: 文庫
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観念史というものを初めて読んだなと思ったがよく考えたら『情念・感情・顔』もそのひとつだったと思う。正直に申し上げると不学にして通読したところで99%理解できていないと思う。素地になる文学にも科学にも哲学にも私はなにひとつ精通していない。
ただ通読するとなんとなく見えてくるものというのもあって、いつもそれを楽しみに、また恃みに、難しいなと思っても読む。今回は歴史の中に横たわる文学の中の哲学、またはその逆、神学からの哲学の分化と宗教学の学問化、科学哲学の源流をみたようで楽しかった。
何よりも楽しいのはそれが現代思想における脱構築的解釈に直結していることだと思う 構造主義的解釈のほうが無論理解はしやすいのだけど、脱構築的著述というのはまさしく『その構造の中に横たわる観照』に役立つ。構造主義と脱構築的発想は決して矛盾しない、両輪回して意味のあるものだとも思う
コペルニクスの地動説もダーウィンの進化論もスピノザのエチカも今となっては事実であり前提になるので誰もその文脈を問うことはない けれど文脈の問い方を知らなければ今の先にまた新しく意図的な文脈を作ることも難しいように思う
7.ポストモダンを超えて:21世紀の芸術と社会を考える(三浦雅士)
芸術に対し近年されるようになった身体性の賦与と、それから参加の原理に関してまだもやもやしていたので読んでみた まあ何か解決するというわけでもないけど読み物としては楽しい。
まあ似たような話の焼き直しを見ているようなものなんだけど、どちらかというと脱構築的なものの見方すると論点が崩れがち。悪くないとは思うけど、言いたいことを納得させたいなら普通の筋を通した方がいいとは思う 内輪の納得という意味では網状言論F改と似てるけど、こっちのが倍はまし。
8.後美術論(椹木野衣)
『反アート入門』がわりと面白かったのでこの人の本2冊目なんですが、読まなきゃよかったと後悔した数少ない本のうちのひとつ。まあ1950-80年代くらいのメインカルチャーとカウンターカルチャーについて知りたければ読んでも悪くはないという程度。
9.スティグマの社会学-烙印を押されたアイデンティティ(アーヴィング・ゴッフマン)
- 作者: アーヴィングゴッフマン,Erving Goffman,石黒毅
- 出版社/メーカー: せりか書房
- 発売日: 2001/04
- メディア: 単行本
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新しく知ることは多くなかれども、こういう解釈の仕方嫌いではない。
自分が臨床で毎日向き合っていることは、病院の外に出るとこういう現象なんだなあという解釈になります。他者の知覚を我が物にしたい。
10.外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か(白井恭弘)
特に第二言語に興味のない人もある人も読めると思います!理論的というか構造化されていてわかりやすいし納得いくエビデンスもあって自分は大喜びできた。英語をやるやっていきが出てきた。