組織論については結構いろんな本を通して考えてきたような気がするけれども、この本がいちばんいろんな角度から検討されていてなおかつ実用的であったと思います。ほとんど教科書みたいな本なので(というか教科書なのでしょう)、読みたいところだけ読んでも面白いと思います。今までマネジメントを専門にする本は数冊読んでみたのですが。
- 作者: Mary Jo Hatch,大月博司,山口善昭,日野健太
- 出版社/メーカー: 同文舘出版
- 発売日: 2017/02/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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他の本だと、とりあえず知っておくべきかとおもってドラッカーのマネジメントとか、スティーヴン・ロビンスの『組織行動のマネジメント』を読んでみました。
- 作者: スティーブン P.ロビンス,?木晴夫
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2009/12/11
- メディア: 単行本
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このあたりも確かに面白くはあるのですが、動的システムについての話や中で動く人間のソフト的部分についての話がメインになってくるのでどうしても「経営」っぽくなってきます。
較べてハッチの組織論は、組織の成り立ちとその解釈、職種というか階層による組織構造の比較と時代の変遷、実際に組織が生まれる場所についての検討などハード面の解釈からはじまります。
モダン―シンボリック―ポストモダン、という言葉に慣れない方は大体その時代の観念的なものとして流してしまっていいような気がします。
▼組織の知覚について
ここからは自分なりの組織解釈の話になるのですが、1年目のときに「病院」という組織やそのうえの組織、あるいは「部門」「病棟」といった単位の組織がどのようにマネジメントされているかにひじょうに注意を払った覚えがあります。1年目のツイートを掘り返すとそんなのばっかりです。「組織とはなにか?」「組織の一部として機能するとはどういうことか?」みたいなことで悩んでいたようです。
我々はどうあっても、チームで動く以上いやでも組織の一員なので、それからはぐれるようなことがあってはならないのです。むしろ組織的な行動が苦手であればあるほど、組織のふるまいというのに注意する必要があることはわかっていたのだと思います。
組織の暗黙知はこと技術職については多くみられる傾向で、またプロジェクトが横並びでない(=その場所で経時的に行われているひとつの大きな目的のための行動)場合、場所の理解というのはとにかくはやく明らかにしていかなければならなかった。
1年目のブログにこんなことを書いておりました。
▼1 能力の分配と集団のパフォーマンスの向上について
これは新人になって1か月くらいのときからずっと思っていたことなんですが、学生のときにはほとんどまったく気が付かなかった視点でした。
いや、実際には学生もその中に組み込まれており、時にスタッフからある程度信頼して役割を与えてもらえることに喜びを感じたりもしていたのですが、やはり今ほど実感してはいなかったような気がします。
自分がぺーぺーの新人であることに自覚的である必要に迫られます。今の自分にどれくらいの能力があってどこからは人の手を借りなければならないか、なんていう話を経時的にしていかなければならないわけで。
そんな中で、ごく自然になされているのが実は『スタッフ間の能力調整』だと思います。みんなはっきり言わないので実にわかりにくいです。私みたいな言葉にしないと理解しえない人間に雰囲気で理解させるのほんとやめて欲しい。
つまりスタッフのパーソナリティを理解してその仕事の密度・精度をある程度お互い共有しておかなければならないようです。得意・不得意をなんとなく理解していないと、本人のもてる最大の能力は発揮できないでしょうから。
別に私の職に限った話ではなくどの組織でもそうだと思うのですが、あまりはっきり明示されている例を見ません。そういうことは『当たり前』の『常識』として扱われるのでしょうか。だとしたらとんだ常識ですね。
この『常識』についてはこの1年とちょっとで色々方法論を手に入れたのですが、そうでなくてはやっていかれなかったと思います。そのくらい、暗黙のコードになってしまったシステムの文化とは扱いづらいものなのです。
あと病院の空間知覚に関しては気力がないので今度にする。