毒素感傷文

院生生活とか、読書の感想とかその他とか

魔都歩き、数個のプラトー

歩いて考えたことを全部ぶちまけていく。あまり人に伝わるように書く気がないのと、ひとまず自分を鎮めるためのものなので、読むつもりでいてくださるなら先にお伝えしておかねば。読みにくい文章ですみません。最近デザインについての本をよく読んでいるので、デザイン関連の話題がたくさん出てくると思います。

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100冊読破(81-90)

1.2.昨日までの世界(上・下)/ジャレド・ダイアモンド

 

 

昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来

昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来

 

 



 

昨日までの世界(下)―文明の源流と人類の未来

昨日までの世界(下)―文明の源流と人類の未来

 

 『銃・病原菌・鉄』と『文明崩壊』と同じ著者の本。でもこの本は明らかに人類学だけでなく、『文化』にも基づいているものであったなと思います。

法規による裁きと人による裁き。裁きというか解決というか。それらを民族の風俗のなかで共存させたり、独特のコンテクストに法律を捩じ込んだりすることの無理と、反対にそれがもつ可能性についても論じられています。

また個体の判断力やコミュニティの結合力についてなんかも結構面白かったです。中身をあんまりネタバレしてしまうと面白くないのですが、コミュニケーションや危機管理については結構狩猟採集生活者や先住生活者から学ぶところも多いんじゃないかと思いましたね。これは結構な名作だなあと自分の中では思います。



 

3.x-デザイン 未来をプロトタイピングするために / 山中俊治

 

x‐DESIGN――未来をプロトタイピングするために

x‐DESIGN――未来をプロトタイピングするために

 

デザインのデザイン、というか編者であるこの人の作品が気になって手に取ったものです。

色んな人が作品を交えてデザインの地平について語っていくものなんですけど、内容もさることながら作品それそのものが楽しいのでぱらぱら見るだけでも雑誌感覚で読めます。いい。

 

 

 

4.都市はなぜ魂を失ったか-ジェイコブズ後のニューヨーク論 / シャロン・ズーキン

 

都市はなぜ魂を失ったか ―ジェイコブズ後のニューヨーク論 (KS理工学専門書)

都市はなぜ魂を失ったか ―ジェイコブズ後のニューヨーク論 (KS理工学専門書)

 

都市デザインの方からでなく都市論メインの方を読んだのはこれが2冊目です。1冊目はニールスミスの『ジェントリフィケーションと報復都市』でした。

実際この本の中にも上述の本が出てくるのですが、都市の均質化やジェントリフィケーション、メタボリズムについてひとつひとつ実例を用いて丁寧に説明されています。そして最終的に、都市が持続可能となったケースの成功例についてはその理由を。いやー都市っていいです。いいんですよ。いいったらいいんです…

 

 

 

5.音楽する身体-"わたし"へと広がる響き / 山田陽一

 

音楽する身体―“わたし”へと広がる響き

音楽する身体―“わたし”へと広がる響き

 

これは音楽をやるならば是非読んでおきたいなと思って読みました。

でまあ後半にいたるにつれて音楽するという経験または体験それそのものの話になっていくんですけど、人と音を合わせるのってコミュニケーションのひとつの形だと思うんですよね。だからセッションそのものはまるで言葉を交わすよりも密なコミュニケーションで、相手のもてるものをすべて引き出しながら自分のもてるものを全部ぶつけなければならなという言い訳のきかんもんやと思います。言葉はオブラートに包めますが音は言葉ほどには包めない。

そういうことを思い出す本でした。

 

 

6.知の生態学的転回1 身体:環境とのエンカウンター / 佐々木正人

 

面白そうだなあと思って借りてきました。

読んでいる途中に自分はノーマンの『誰のためのデザイン?』メルロー=ポンティの『知覚の現象学』の間っぽいなあと感じていたようです。

認知科学や哲学は好きな領域なのでおさらいみたいな感じで読んだのですが、発達心理学+アフォーダンス知覚の形成みたいな領域にきた瞬間いきなり自分の中でこの本の優先順位があがりました めっちゃ面白かったです。子供がはいはいをしだしたときに触る両手足の場所、その感覚、認識についてとかもうわくわくします。人間が物質に対して抱いている『印象』の解析にわりと興味があるので。2-3と続くので次が楽しみです。

 

 

 

7.建築のちから / 内藤廣

 

建築のちから

建築のちから

 

○○デザイン講義シリーズで知った方のエッセイ形式の本。エッセイなので読みやすいけどあまり文章が上手ではない、というのは恐らく語りそのものは作品でなされてきたからであり、また人との語らいの間にあるからなんだろうとなんとなく思う。

 

建築は場の翻訳だ、っていっていて、実際にどういうものを翻訳してどのように表されたかが書かれています。さくっと読める。でもデザイン講義シリーズの方が面白いです。若者向けだからかな

 

 

 

8.デザインの骨格 / 山中俊治

 

 

デザインの骨格

デザインの骨格

 

 

ちょうどこれを読んだあと、『デザインの解剖』展にいきました。

デザインの解剖は実際に視覚的にデザインの要素を展開していたのですが、この本はそこにあるプロジェクトや意図、目的、それがもたらした影響についても考察しています。

アップルのアイフォン解体から始まる本です…解体て。

 

 

 

9.場のちから / 内藤廣

 

場のちから

場のちから

 

うん、都市デザイン。

都市計画に含まれた公共建築物というのは造るのにものすごく気をつかうんだろうなと思うんですよね。構造物を作るひとが都市というリヴァイアサンを相手にしなきゃならんのってプレッシャーやろうなあと思ったりします。こっちの方が本は楽しく書かれていたように思います。

 

 

 

10.構造デザインマップ 東京 / 久保純子

 

構造デザインマップ 東京

構造デザインマップ 東京

 

マップなのでどうしようかなあと思ったんですが内容的にいれてもいいだろうと思って入れてしまいました。結構真面目な建築デザインに関する本です。東京街歩きのときに参考にしたくて買いました。ランドマークとなる建物について、その構成であるとか意味について結構しっかり書き込まれています。また東京に行く折にはこれを基に色々見て回りたい。

 

100冊読破(71-80)

1.デザイン学-思索のコンステレーション(向井周太郎)

 

デザイン学 (思索のコンステレーション)

デザイン学 (思索のコンステレーション)

 

 デザインの哲学、という感じ。

今まで哲学から形而上学的アプローチをしていたものの、反対側からとなると結構違和感ありました。視座、地図、地勢図としてのデザインを俯瞰すること。でも哲学に慣れるとやっぱりなんか気持ち悪かったです

記号学のパース、脱構築主義のデリダについてもっと知っておいた方がよかったのかも知れません

 

2.森は考える-人間的なるものを超えた人類学(エドゥアルド・コーン)

 

森は考える――人間的なるものを超えた人類学

森は考える――人間的なるものを超えた人類学

 

 

これもわりと言語学というか音声学みたいなものが出てくる話やったなと思います 森そのものを表現する音声があったりする部族の話とかが出てきます。

最近見たドキュメンタリー映画で『真珠のボタン』というものがあるのですが、あれを彷彿とさせます。

 

3.服従の心理(スタンレー・ミルグラム

 

服従の心理 (河出文庫)

服従の心理 (河出文庫)

 

面白かったです。なんというか実験できる社会心理学のなかでは相当えげつない部類だと思うのですが、権威に対して服従し暴力を振るうことの心理について分析した本。

色々怖い。

 

4.環境デザイン講義(内藤廣

 

環境デザイン講義

環境デザイン講義

 

この環境は、地球環境とかではなくて光や熱といった要素としての環境をデザインすることについての講義です。先に読んだ形態デザイン講義の、前のもの。

熱、光、風あたりの要素についての分析がことに面白かったです 

 

5.ヴィジュアル版『決戦』の世界史-歴史を動かした50の戦(ジェフリー・リーガン)

 

ヴィジュアル版 「決戦」の世界史 歴史を動かした50の戦い

ヴィジュアル版 「決戦」の世界史 歴史を動かした50の戦い

 

こちらはわりと戦術についての歴史的事実を描いたもの。悔しいのは中国史があまり出てこないことですかね…。

ザマの戦いとかが出てくるのは好きなんですが中世が特に弱いので正直ちんぷんかんぷんの戦いもちらほら。でも芸術史に残る絵画の中には決戦を描いたものや将軍、皇帝の肖像が多いのでそういうのが解説つきで見られるのはよかったです。

 

6.殺戮の世界史:人類が犯した100の大罪(マシュー・ホワイト

 

殺戮の世界史: 人類が犯した100の大罪

殺戮の世界史: 人類が犯した100の大罪

 

『暴力の人類史』に並ぶ名作やなと思いましたです。歴史の順に並んでいて、死者数別にランキングづけられ、その虐殺ないし戦闘が起こった理由とその後の動向について簡潔に書かれていて、なんというか世界史を復習し直す気持ちで読めました。こちらは文字通り世界がテーマなので、中国史も日本史も入ってきます。ピノチェト政権、ポル・ポト文化大革命スターリンの圧政からツチ族フツ族の戦闘まで。わりと近代のほうが興味をもって読めました。

 

7.8.怒り 上・下(吉田修一

 

怒り(上) (中公文庫)

怒り(上) (中公文庫)

 

 

 

怒り(下) (中公文庫)

怒り(下) (中公文庫)

 

この本を読み終わった後に、映画を観にいきました。本だけを読んだ感想としては、ああ、やるな、という感じです。信じることって難しいなと思いますし、信じさせることもまた、誠実であればあるほど難しいんかなと考えさせられたり、遣る瀬無くなったり。

吉田修一好きなんですが、大体読んだ後遣る瀬無くなるんですよね。好きです。

 

9.死(ウラジーミル・ジャンケレヴィッチ)

 

死

 

芸術、人文、哲学、全部かき集めて死を表現しようとしたかのような本でした。死とはなにか、どのように定義されどのような文脈で語られ個人にとってどのような経験であり、遺されたものにとってなんであり逝くものにとってなんであるか、というはなし。

フランクルよりは実存よりずっと現象学に近い感じがしますが、基本的にはロゴセラピー的な側面を持っています。老化について書かれていたのがよかった。

 

10.構造デザイン講義(内藤廣

 

構造デザイン講義

構造デザイン講義

 

素材と構築について語る講義。これが3連の本の1冊目です。最後に読みましたが。

メディアとしてのコンクリート、という本を以前読んだのですが、その時にも感じた楽しさを感じました。好き。

 

 

映画感想『リリーのすべて』『怒り』


映画『リリーのすべて』予告編

 

性転換手術を世界で初めて受けた女性(in男性)のはなし。

 

この映画を観ていたとき中盤くらいから泣けて泣けて仕方がなかったんですが、前半が美しくて楽しいからこそ余計にその危うさと儚さがわかってつらくなるのかも知れません。

全編通して素晴らしい映像美です。街中も、衣類も、本当に素敵です。

リリー(アイナー)が一応この映画の主人公となるのでしょうけれど、どちらかといえばゲルダ(その妻)の人間性の強さ、そして脆さにもスポットが当たっていて素晴らしかったです。

 

今年1番よかった映画になる気がする。

 

 

 


【映画予告編】『怒り(Anger)』特報予告TVCM|監督:李相日/出演:渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、宮崎あおい、妻夫木聡

 

こちらもよかったです。連日見るべき映画ではなかったかも知れません。

吉田修一が好きなので原作を読んでから行ったのですが、原作を読んでからでもそうでなくても十分に楽しめました。

森山未來宮崎あおいは怪演ともいうべき名演技でしたし、綾野剛妻夫木聡は本当になんというか繊細でいとおしい演技をしてくれたし。

何より撮り方で人肌が本当にセクシーに映っていたのでよかった。いえ、セクシャルな、というよりは肌の質感や温度を伴っていたのでよかったです。撮影方法も、人物にかなり大きくフォーカスをあてているので人間のものの見え方に近い集中ができるのですね。周りが気にならないというか。

 

久々にがっつりアタリの映画を続けて2本も観てちょっと疲れました。

君の名は。映画感想

かくも有名となってしまった新海誠最新作品、『君の名は。』を観てきました。

ストーリーについてやメインキャラクターについてはほとんど触れないようにしようと思います。自分はそもそもあまり新海誠作品の、ストーリーやキャラクターには興味がなく、結構辛辣なコメントをしそうになってしまうことがよくあるのです。なのでそのあたりには一切触れないでいることにします(褒めたつもりで褒めていなかったら申し訳ないし)

 

折角ですから、もう観た人とまだ観ていない人と、劇場の臨場感を共有したいなと思いまして。

 

 

 

1.カメラワーク

ここはオタクらしく語っていこうかと思います。自分もカメラを持つものの端くれ、カメラの撮影視点はよく意識します。

そして君の名は。のカメラワークは、とてもよかった。限りなく映画に近づけてあったと思います。それも、動画としての映画、静画としての写真にも。実写に近い、『実撮影』に限りなく近い作品にしたかったのかなという意志を感じました。

 

シーンで分かりやすいのは、神社での舞のシーン。カメラがぐるりを取り巻く、それもスピードに緩急をつけるのは結構最近の撮影技法やと思います。手持ちカメラではできない技術ですね。

あとはタイムラプス。定点撮影で時間経過、四季の移ろいを示すのは実写映画ではよくあることですが、そのまま使っていました。アニメーター殺しですね。

 

 

 

2.実写に近いけど実写ではない都市

都市の美しさは凄まじいというか妄執すら感じる勢いでした。写真でも動画でもないのに、それを明らかに意識した絵の数々。かの攻殻機動隊をアニメ化したproduction I.G.が作画ときいて、あれも原画展は素晴らしかったなあと思い出しました(オタクめ)

 

新宿の都市としての美しさを描くのに、新海誠は本当に秀でているなあと思います。鳥瞰、俯瞰、接写(そういえば作画の中で遠景の玉ボケなんかも作っていました)、どんな視点からみてもあの都市が美しく、魅力的に見えるようにできているなと。工事中の三角コーンの煌めきひとつにも、都市としてのごみごみした乱雑な様子を愛おしく思っているように見えました。

 

 

まあ全部私がそれなりに東京という都市圏を気に入っているがゆえでしょうけれど。

 

 

3.総合芸術としての音楽

RAD別に好きとちゃうし、大音量で流す意味もそんなあるかなあという感じはあったんですが、途中でなんとなく観る意図が変わってきました。

あの映画、結構セリフ少ない気がするんですよね。いや、秒速5センチメートルとか言の葉の庭はもっと少ないのかも知れませんけど。コミュニケーションをとる場面と、そうでなくひとりでいる場面がはっきりわかれています。そしてそのひとりの場面には、大抵歌が流れている。そして本当に大切なシーンはひとりの時に訪れる。決意も、諦念も、驚きも全部。

 

舞台芸術では、ひとりのときの心境は『心の声』としてセリフをいうしかありません。それが、君の名は。にはありませんでした。心情は、顔か、独り言としてのつぶやきしかない。本当に思っている心のうちは、本人しかわからない。でも音楽は流れる。恐らくその場に適したものが。

これはよく考えたら『秒速5センチメートル』にはなかったことのような気がします。わたくしあまりあの作品が好きになれなかったのですが(絵の綺麗さは実によかったです)、それはほとんどが主人公の独白しかなく、そして勝手な思い込みで結論まで出してしまうからなんですけど、それが君の名は。にはなかったんですよね。ちゃんとコミュニケーションを取るんですよ。

 

そういうわけで、音楽はただのBGMではなくむしろセリフの一部、なんならミュージカルの要素が含まれていたのではないかとさえ思います

 

というわけでまともな映画感想からはちょっと外れますがメモ書きでした。忘れてしまわないうちに。

100冊読破(61-70)

なぜか今回は堅苦しい本ばかりになりました。哲学ばっかりや。

 

1.メディア論-人間の拡張の諸相(マーシャル・マクルーハン

 

メディア論―人間の拡張の諸相

メディア論―人間の拡張の諸相

 

 古い本ですね。前に読んだグリックの『インフォメーション-情報技術の人類史』の、近代に時代を区切り、かつその時代の変遷のただなかにあった人のもの、という感じです。一読はしましたが2度は読まない気がするなあ。

近代文学をやったりとかするには良いかもしれない。熱いメディアと冷たいメディア、要するに情報伝達の手段としてどれだけの人間と相互作用的であるか、タイムリーであるか、情報伝達量(届く先)が多いかで定義されているように感じましたが、読み違えている可能性が大いにあります。あまり楽しめなかったのです。

 

 

2.法と経済学(スティーブン・シャベル)

 

法と経済学

法と経済学

 

ロールズの『正義論』を読んだあとなのでいいかなと思って読んでみました。凶器みたいな重さの本。楽しかったのだが楽しさが楽しいと伝わらない可能性が高い。法律とは、量科したり制約するものであるのだけど、個人的な道徳と間反対になるときない?ってずっと思っていてですね。

医療の介入とは本質的に個人の身体性に侵襲的なものであるのに対して法の介入とは個人あるいは集団、組織への振る舞い(社会性)に対して侵襲的なんですよね だから法曹の資格も医療資格も国家資格なんやなと当たり前ながら思ったり。個を護るということは即ち個を個体自身の侵襲性から護ることであるのやなと。

面白かったのは2章の事故法と最終章の厚生経済学についてなんですが(最終章のためにこの本借りた)、事故法みたいに責任を負いきれないとか個人でリスク回避する場合の任意責任保険みたいなやつ、あまり好きになれていなかったのでこれを読んでおいたのはよかったなと思います。社会福祉を維持させるのは経済であり法なんですよ。その部分を理解せずして医療に携わることがむず痒かったのでまあいつかはぶち当たらなきゃいけない壁だったのですがぶち当たってみると案外心地よかったという話ですね。

 

 

3.主体性とは何か?(ジャン=ポール・サルトル

 

主体性とは何か?

主体性とは何か?

 

ジル・ドゥルーズの『千のプラトー』を読んだへろへろの頭で読んだので、いまいち入ってこないというか基本が対話の録音なので小説のような感じで読みました。因みに中身も複数のテーマについて検討するという形式のもので、サルトルがいまいちどんな人なのかわかっていない自分にはキツかったかも知れません。

けど、メルロ=ポンティ『知覚の現象学』なんかにも書かれていたようなことがさっくりとまとめられていたのは大変ありがたかったです。もうちょっと読まねばわからんなという感じですね。

 

 

4.猛スピードで母は(長嶋有

 

猛スピードで母は (文春文庫)

猛スピードで母は (文春文庫)

 

 

ちょっと苦手な本でした。ぺらい文庫ですが芥川賞受賞作らしく、家族が貸してくれました。衝動性があってそれを言語化しない女性、見ていて不安になるからきらいだ。

 

 

5.千のプラトー-資本主義と分裂症(ジル・ドゥルーズ、フェリックス・ガタリ

 

千のプラトー―資本主義と分裂症

千のプラトー―資本主義と分裂症

 

ドゥルーズの『差異と反復』を先に読むべきやったかも知れません。様々な事物について論考していく章立て形式なので、全然わからない章もあれば楽しく読める章もあり、という感じでした。特に最後の方になって面白くなってきて、ノマドとか歴史における暴力性についてのくだりは結構文化人類学っぽい切り口なのでもう一回読んでみるのも良いかも知れない。ガタリとの共著に名作が多いようですが、それだけ対話による論考の敲きがいいんだろうとなんとなく思ったり。

 

 

6.プシュケー 他なるものの発明(ジャック・デリダ

 

プシュケー 他なるものの発明(I)

プシュケー 他なるものの発明(I)

 

『差異と反復』の前置きにできた気がします。

デリダを人に勧められて、タイトルだけは知っていたので読みました。基本構成は先の『千のプラトー』みたいな感じで、内在から外在、つまり歴史や社会について論考する内容に変容していきます。でも千のプラトーよりもわりと詩的というか感覚的で、『知覚の現象学』に近いものを感じました。

最後の方に、人種差別と冷戦についての話が出て来るんですが、そういうの読むと当たり前ですが歴史というか時代背景あっての思考・思索なんやなあと思わされます。近現代の歴史わりとガバガバなのでちゃんとやらねばなと思わされましたです

 

 

7.何者(浅井リョウ)

 

何者 (新潮文庫)

何者 (新潮文庫)

 

本屋でみかけて、ちらっと読んで、ああこれは読まなくてもいいや…と思っていたのに家族から借りてしまったので読みました。直木賞受賞作ですね。これから映画も公開です(絶対に観に行ってやらないからな)。

 

確かにSNSが当たり前になってしまうと、今度はSNS上の振る舞いが上手くなってしまって本作に出て来るようなぎこちなさや下手さはなくなるのですが、使い慣れていなかったらこうなるのかも知れませんね。何より、本作を通して痛烈に批判されていたのは就活という行為の間抜けさでもあるとは思います。しかしそれすら満足にできなくて苦しい時期が、必ずくる。そんな感じの本でした。作者が若いので文章も決して上手くはないし、クサいし、なんなんだと思うんですが選んだテーマはとても現代らしくていいのかなあと思いました。

 

この人の本はクサい。

 

 

8.差異と反復(ジル・ドゥルーズ

 

差異と反復

差異と反復

 

こっちを、千のプラトーより先に手をつけたらよかったなと後になって思いました。

スピノザにはじまり(あとで知ったのですがドゥルーズスピノザについての博士論文を書いていますね)、フロイトに至るまでの認知心理学(当時そういう言葉はなかったでしょうが)の軌跡について的確にまとめあげると共に、時間のもつ性格や方法論の提示という感じでした。難しいですが真面目というか全編通して適切であろうとするがゆえの難しさだったのでひねくれずに読めた気がします。

 

 

9.スピノザジル・ドゥルーズ

 

スピノザ―実践の哲学

スピノザ―実践の哲学

 

スピノザの本がさっぱりわからないので、読んでみました 奇しくもドゥルーズの本ばかり読んでいるようです。

スピノザの『エチカ』を読もうとしたらまず神学についての記述があって最初から心が折れたのですが、ドゥルーズスピノザに対する愛が溢れる一冊でした…無神論者なんて呼ばれてるのびっくりしますわ、スピノザ。そうなのかしら。

 

 

10.形態デザイン講義(内田廣)

 

形態デザイン講義

形態デザイン講義

 

めっちゃ面白くてすいすい読んでしまいました(他に読んでいる本がめっちゃ読みにくいので余計にかも知れない)。東大での講義の記録です。けど、ここに出てくるものが結構ひとつひとつパンチがきいていて、建築物の解説や構想の話というよりは都市計画や都市論、そこに住む人たちによるユーザビリティの問題なんかをはらんでいて本当にいい本でした。

どんな人にならオススメできるやろうか。

どんな人にもオススメしたいですけどね。

 

男もすなるpairsというものを

女もしてみむとてするなり。

 

 

多少歪んだ動機ながらもマッチングアプリなるものをやってみた

自分は引きこもりのコミュ障である。なおbarとかにいくと威勢がいい(というかよく喋る)。つまり大多数になった途端に喋らなくなったり、場の維持に努めようと奔走するタイプのコミュ障です。仕事に疲れています(そりゃあね)。大体いつも働いています。

というわけで、「出会い」...もまあ副産物としてはいいのかも知れませんが、「気の合うひとってどうやって探すんだっけ?」「自分に仕事以外社会的な所属はないのか?」と色々悩んだ結果、世で有名なマッチングアプリをやってみようという不純な選択をすることと相成りました。正直マッチングはできなくても全然いいやというか、むしろ気の合うひとなんてどう考えてもTwitterの方が集まりやすい(自分の思考がだだもれ)なので、いわゆる『普通の人』体験をしてみたさもあってやってみたのです。

 

 

 

pairsの基本システム

...は、ほかのブログサイトなんかにもたくさん転がっているのでそちらをご参照いただきたい。Facebook登録(連携するわけではない)+身元確認で、基本内容となる「いいね!」(マッチングの基盤となるもの)とダイレクトメッセージのやりとりができるようになります。

ここなんかが詳しいですしサイトとしても見やすいように思います。まあ皆さんよくご存じかも知れませんが一応載せておきましょう。

kon-c.com

 

登録すると、大体の項目を充実させることになります。

いいね!された際にまず目に入るものは、

・プロフィール写真(アイコン)

・ひとこと(数十字)

・年齢/居住地

・年収(1000万円未満は200万円区切り)/職業(職種)

・身長/血液型

です。つまりこのあたりの第一印象でページをめくるか否かも結構マッチングには関わるなあと思いました。

 

マッチングは、どうやら課金によりいいね!を送ると同時にメッセージを送ることもできるようですが基本的にはいいね!をお互いに送りマッチングが成立しないと実際に言葉を交わすことができません。これが結構ニクいシステムやなあと思います。古き時代のmixiをちょっと思い出しました(マイミクにならないと限定公開の日記なんかは読めないので)。あるいは鍵付きtwitterでもいいかも知れません。

とにかく、その人自身と関わりたければまずプロフィールで勝負しなければならないのです。これは男性も女性も同じでしょう。

それから、実際に女性として登録してみての感想ですがめっちゃいいねがきます

正直、こちらからマッチング相手を探す余裕はありません。なお、相手を探すとなるとページでマッチング度合いが出ます。こちらが相手に望む条件を最初に入力したり、性格であてはまる項目を選んだり、mixiみたいにコミュニティに参加してそれのかぶっている度合いなんかで判断されるようです。

 

別のサイトで読んだところによると、女性のいいね!は男性のいいね!の1/10だそうです。むしろ男性で女性から自発的に(つまり最初から)いいねがたくさんくる方は、よほど条件がいいと思われていると考えていただいてよいのではないでしょうか。

 

 

 

いいね!いいね!いいね?!

もうそれ本当にいいねって思っているのかというくらいいいねきました。

いや実際マッチングする気はそんなにないのだと思います。

昔読んだこのブログを思い出しまして、今覗いてみましたが恐ろしい世界でした

syugougirl.blog.fc2.com

結構このひとたちのtwitterアカウントもキラキラしていてあまり参考にはならないので、まあペアーズのシステムをざっと把握するために使ってみました。

3日間、72時間やってみて地方都市在住で100いいね弱。足跡を見てみると、700余りついていました。つまり6/7以上にスルーされた地雷ともいえますが、そもそも私はマッチングの難度をあげて臨みたかったので(いいねを稼ぐためにやっているのではないので)このようなものかも知れません。

ちなみに足跡をいま覗いてみると、他府県の方が多い印象でした。つまり覗くだけ覗いてみたけど、現実として妥当性はないというものですね。

 

 

自分はどのような視点で見ていたのか

さて、100いいねともなるともう目が追い付かなくなります。マッチングするかどうかもちょっと悩みます。なので、人間関係としてこれはどうかと思いますが「人間関係を築くかどうか、コミュニケーションを取りたいかどうか」を選択することになります。

話す前から人間ははじかれるのです。外見ならまだしも、スペックで。むごい。

で、スペックといっても自分は何をどう判断したのだろう?というのを改めて振り返ってみました。

 

人のことをああだこうだいう前に自分のものをある程度ここに書いておきます。

・年齢(25前後としておきましょう)

・年収(400~600万円のレンジに入りました)

・業種(専門職ですね)

あたりがぱっと表示される情報でしょうか。アイコンは風景写真なので顔出しておりません。

あとは細かい設定や自己紹介文は結構きっちり書きました。

何せ自分はウェイウェイする人苦手なので、大人しくてインドアやと!あと本はたくさん読みますと!映画もニッチなのばかり見ていると!地雷ですね。完全に地雷です。ありがとうございました。

 

相手の情報にあたって、まずどうでもよかったものを書いていきます。

・血液型;輸血でもするのか

・身長;結構190cm近い人がいてびっくりしましたが身長にはほとんど興味がありません。高ければいいってものじゃない。スタイルは会ってみないとわからないですし

・デートの費用;どうでもいい。なにせほとんどの人とはお付き合いすることにはならないわけですから、こちらも支払うべきものを出すべきというスタンスです

 

そして重視というか判断材料になったものを。

①年収と年齢、職業と学歴の連動性

若ければまだ稼げないのは当たり前です。でも年なみになって、例えば30代にもなっていたら、いっぱしに働けるはずです。それが相関していない場合は社会性に問題があるとか人生設計に著しい問題がある可能性があるなと思い、除外しました。

それから、会社経営などでウン1000万の年収であるものの40代の方も現実を見てくれと思い除外しております。友人には男女問わず40前後の方がいらっしゃいますし仲もよいですが、新しく(それも親密になるのを目的として)知り合うのにその条件はつらいです。Twitterで話しかけてください。

②面白い職業かどうか

造園業、芸術系(芸大卒)とかはやっぱり目は惹きました(マッチングしたとはいってない)。反対に、職種:上場企業 ってなんだよ...と思ったりはしました。これは自分が専門職だから思ってしまうことであり、おそらく大切な情報なのでしょう。こと結婚を考えるのであれば。当たり前ですが、長年の友人が一時的に無職になったとしても厭いませんがこれから初めて出会う人が職に困っているという状況は関わりたくはありませんよね。しかるべきところにいけ。職安とか病院だ。外来で会おうな✌(煽っていくスタイル

③体型

自分が細身で筋肉質なため、画像上著しくぽっちゃりしているないし健康が心配になる方はご遠慮いたしました。自分よりBMIが低くないととはいいませんが(自分がかなり低いので健康を害する恐れがある)、体脂肪率が高そうなのはちょっと、とは思います。私自身は、今はまったく注意を払っていないので20~25%くらいあるはずです。女性の平均(標準やせがた)くらいです。なので、平均以上に体脂肪率がありそうな方は将来性に不安があると思い除外です。

④お住まいの土地

現在お住まいの土地があまりに遠い方はご遠慮した覚えがあります。

⑤表情

不細工かどうかはそんなに気にしませんでした。むしろ、人に撮られた写真を載せている方が多かったので、楽しそうな顔をしているかどうかをよく見ていた気がします。で、大体野放図に楽しそうな人は除外しました。ひどいや。

自分自身があまり開放的な人間ではないので、そういう方とは気が合わんだろうと思ったのです。大変失礼いたしました。

 

なお条件としては、①と⑤で除外してしまった方が多かったことを申し添えておきます。実際には、学歴に対して見合う態度がプロフィールから見受けられるかどうかとか色々感覚的な要素がたくさん入ってしまったのでここには書ききれず割愛させていただきます。

 

 

マッチング後が問題だった

上記除外条件をすり抜けた方にいいねをお返ししました。なお途中からかなり目が厳しくなり、話すくらいええやん...という方も結構スルーしました。

で、マッチングしても最初の3日間は自分からのメッセージなんてとてもじゃないですが返せる状態ではありませんでした。普通に仕事をしていたので、仕事の合間になんとなくアプリを開くと10件以上のいいねがきているので上記選別を行わなければならないという状況に追われていたのです。

世のpairs常連男性がたはこの現状をぜひとも知っていただきたい。

 

マッチングは結構たくさん成立させましたが、メッセージのやりとりが続きそうなのはいまのところ10名以下です。

何故ならみなさんコミュニケーションがそんなに上手ではなかったので。

 

私の場合、こちらが潜在的にもっている条件として

①それなりに忙しいし、率先して出会いたいわけではない(やりとりそのものに興味があった)

②趣味がニッチである

③会話によって無意識に相手の文化的な習熟度を測っている

という側面がありました。つまり、ほとんどの場合はマッチングで無理というより会話で無理になるのです。この人とは話が通じないぞ、と。そして話すまでもなくなるのです。

 

こちらが仕事の合間にいいね!の中身から相手のプロフィールを見に行っている間に、マッチングした別のお相手からメッセージがきています。

 

「難しそうな趣味ですね!」

誰 が 返 事 す る も ん か。

 

マッチングは私の場合は相手への全面的な許容ではなく、むしろそこからが勝負だった感じはあります。勿論こんなに上から目線で批判するからには礼は尽くしますし、相手の興味がどこに向いているかにも注意を払います。20~30代の男性となると働き盛りなので、仕事を楽しんでいるかどうかにも少し水を向けます。

この向けた水に反応してくれるかどうかを私は見ておりました。

自分のことを語る気はそんなになかったので、相手の人柄を判断するに必要な情報をこちらが欲していることに相手が気づくかどうかといったところでしょうか。

 

 

 

結論を申し上げますと、

3日目にして疲れました。もうTwitterに戻りたいです。