毒素感傷文

院生生活とか、読書の感想とかその他とか

社会人大学生生活についての雑記

いやあ疲れました。試験全部終わりました。世に訊けば社会人大学生というものは大体1万人ちょいなのだそうです(放送大学調べ(※1)だったかしら)。思ったより少ないですね。少ないのかな。院生は含まないので学生全体としてはもっと多いと思いますが、とにかく4か月学生をやってみて、思うところを書きなぐっておこうと思います。

 

※1:ここの6ページです。文科省学校基本調査より。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo2/siryou/__icsFiles/afieldfile/2011/10/17/1311624_8.pdf

 

あと、ひとつとんでもないミスをやらかして単位落とすどころか失格したので漏れなく来期に持ち越ししてしまったのですが、全然勉強できていなかった分野なのでまあいいかという感じです。立ち直りだけは早いのがアホのいいところです。

 

1.試験を受けるところまでやってみての印象

2.実生活との兼ね合い

3.かける期間

4.動機のありかは?

5.展望と課題

 

こんな感じの内容でやっていければよいかなと。

 

1.試験を受けるところまでやってみての印象

学習内容について

私が取った講義は

1.教育心理学概論(導入)

2.発達心理学概論(導入)

3.認知心理学(専門)

4.認知神経科学(専門)

5.比較認知科学(専門)

6.心理統計法(専門)

7.危機の心理学(専門)

8.社会心理学(専門)

9.ソーシャルシティ(専門)

の9科目です。内容としては上の8科目が「心理と教育」コースに属するもので、最後だけが「産業と社会」コースですね。導入と書いているのが導入科目、専門と書いているのが専門科目、いわば導入科目の基盤上に成り立つ高度な科目に位置付けられています。心理学に関しては認定心理士取得という目標があるので、それに沿って計画をたてています。

そのことに関しては5月の通信指導提出時期に書いたブログにあります。

 

 

ちなみに心理統計だけ、持ち込み物品(11年度は許可あり)違いで試験会場からつまみ出されたという失態つきです。来季も試験受けます

 

難易度について

上記のうち、認知神経科学のみが800字の文章作成型で、持ち込み可能でした。ソーシャルシティは今年度開設科目で、これも持ち込み可。

試験自体は難しくないですが、よくまとまった教科書1冊から発展的内容が示唆されており、教科書のレベルとしてはどの科目もひじょうに高いといえると思います。あとは、教授の腕次第でしょうか。一般的な内容にとどまるものもあれば、より深い「理解」を促すものとしてわたしが感銘を受けたのは「教育心理学概論」でした。導入科目として、はじめて心理学に足を踏み入れる人が人間の「理解」に関する知覚への興味をもつに相応しい構成になっています。内容としては非常に高度であるにも関わらず語彙は平易で、何度読み返しても味があります。

 

 

2.実生活との兼ね合い

このタイトルで読んでいただけているということは気になることのひとつに、兼業大学生をどうやってするのか?という問題があがると思います。

ちなみに私は3年目の病院勤務看護師です。夜勤は大体月に5-6回していて、夜勤の前の日は日勤を夜中までやるので定時が12時間勤務、残業が入るとざっと15時間ほど拘束されてしまう気持ち悪い勤務形態です。自分で書いていて頭がおかしいんじゃないかとたまに思いますが正気です。


勉強時間と過ごし方

全然取れませんでした。フルタイムの勤務の中でもかなりハード(と言われている)職業に就いてはいますがその中でも弊社(弊病棟?)激務のようです。

当然大学に所属しているからといって病気が手を抜いてくれるわけもなく、教科書をそれぞれ1回通読→2回目答え合わせをしながら通信指導をなんとか提出→3回目精読してノートにまとめて即試験、というギリギリの時間で回していました。かといって仕事以外の時間を全部勉強に回していたかというとまったくそうではなく、休みの日は映画を観たり写真撮りに行ったり、連休があれば違う都市まで足を運び、友人がこれば飲みに行き・・・といつもと変わらない生活をしていました。しいて言えば、運動する習慣は完全になくなってしまいました(へとへとです)

ただ、教科書はどれも本当に面白かったですし、自分がもとからこつこつやるタイプではないために「やりたいときにがっつりやる」スタイルが非常に性に合ったかなという気がします。休みの日は平均3時間くらい教科書を読んだ気がします(0時間の日もあれば6時間の日もありましたが)。12時間勤務をこなした帰りに、0時過ぎから24時間営業の店に行って2時間くらい勉強していたこともありました。

 

試験期間

大変過ぎました。死ぬかと思いました。

やっぱり生活上に締め切りが設けられたり、試験というイベントがくることはたいへんです。「試験のために休みをとる」のが、たいへんなのです。

夏休みも不定休なので、まあ希望通りにとれるだろうと思いきや、試験のスケジュールがひどいことになりまして。

23日 (仕事は休み)夕方「認知神経科学」試験

24日 朝7時半から0時前まで勤務

25日 昼前「危機の心理学」試験、仮眠をとって夕方から翌朝まで夜勤

26日 夜勤明け、夕方「社会心理学」試験

27日 (仕事は休み)「ソーシャルシティ」、「教育心理学概論」、「比較認知科学」試験

28日 7時半から22時過ぎまで勤務

29日 朝から「心理統計法」、昼から「発達心理学概論」試験、仮眠をとって夕方から翌朝まで勤務

30日 夜勤明けですぐ「認知心理学」試験

というすさまじい試験スケジュールでした。いつ寝ていたんだとじぶんでも思いますが、勉強をあまりしていなかったので働いているときと試験を受けている時間以外はずっと寝ていました。

でもこれができるということは、まあ試験期間の1週間だけ乗り越えれば、非正規雇用やアルバイトで不規則勤務をしている人たちもこのペースで授業をとれるということです。つらいですが、やれないことはないようです(ちなみに私はメンタルも弱く体力もないほうです)。

 

あらゆるタイプの社会人大学生について

これ、専業主婦とか他の社会人の方だと、どういうようになるかはわかりませんが私の場合は9教科とるとかなりカツカツでした。ベースの知識がある分野の授業でこれなので、非専門領域となるともっと難しいことが予想されます。

あと、全科履修生のうち私のように「最短2年間の在学で62単位」が必要なのか、普通の大学生と同じように最低4年間で104単位を修得するのかでかなり違いはあると思います。後者の場合は面接授業20単位分と、通学の必要性があります。なので、

①高卒→学士取得

②専門学校・短大卒→学士取得

③選科・科目履修生

このどれをとるかによって生活の困難さは変わってくると思います。勿論①がいちばん大変です。実際に学習センターに行くと、通学授業を受けておられる方たちが談笑している姿を見かけました。多くは恐らく専業主婦か退職後の高齢者の方でしたね。

 

3.かける期間と目的について

「何年かけて何をやるか」というざっくりした目標は、特に生産年齢世代でかつ目的がはっきりした入学の場合には大切だと思います。放送大学、ひとりで勉強しなければならないのでよほどのやる気がない限りはどうしてもだらけます。ちなみに私の場合は強い現実逃避への願望というすごくマイナスな強制力がいつでも自分を教科書に向かわせてくれました。現実はつらい。

 

streptococcus.hatenablog.com

見ていただけますとわかるように、社会心理学学習心理学認知心理学に注力しており、臨床心理はやや避けています(あまり得意じゃないのもある)。人間の注意と選好と回遊行動に興味があるので、自分の仕事とはちょっと関係ないものを選びました。

 

①何をやりたいか?

②何年後どうなっていたいか?

③それに割けるリソースはどれくらいあるか?

・・・くらいの検討を前もってしておくと、入学してから焦らなくて済むような気がします。

ちなみに私の場合は、入学前は教養と看護学の2種類の学士取得を目指していたのですが、途中から大学院(看護学分野)への進学が視野に入ってきたので、看護学の学士取得はさくっと諦めました。もとより余分な授業を取りたくなかったので。

 

①に関しては、編入ですとすでに基盤科目などはおさえているので好きな科目をとることができます。私の場合は都市工学・社会学・統計・物理・情報科学・デザイン分野にも興味があったのですがさすがに絞らないと目的がぼやけるので、メインは心理と教育コースに籍をおきまず認定心理士はとろうと決めておきました。哲学とか人類学も楽しそうです(こうやってすぐ思考が脱線するので)。

 

②というわけで、①に少しすでに言及してしまいましたが、大学院でさらに学習ないし自分のやりたい研究をするために必要な基礎固めとしての心理学・社会学を身に着けるつもりです。医療安全・医療政策(経営)と地域社会のバックアップとしての医療に興味がある状態です。知覚に関する心理学・哲学とかは完全にまだ趣味の段階です。

 

③収入のある社会人ですとお金は担保されていますが、時間がないのが課題ですかね。9科目とってヒーヒーいっているので、卒業までほんとうに2年でできるかは怪しいです。まあ期限のあるものでもないのですが、目標をたてたら実行計画をして、やってみてあかんかったら修正(ときには目標の修正も視野にいれること)、大事だと思います。

 

4.動機のありかは?

私のような編入学であれば2年、全科履修生の入学であれば4年。長い時間です。やり抜くには大きな動機が必要であることと思います。

放送大学には6つのコース以外にも「エキスパート」なる授業詰め合わせみたいなものがあります。つまり大まかなコースの中でも、例えば私のように「心理と教育」コースにいながらほとんど教育関連科目をとらずに卒業することが可能なので、そんなときに参考になるのではないでしょうか。地域コミュニティに参与している人向けなので、口に合わない人もいらっしゃるかもしれませんが、それでしたらむしろやりたいことがすでにあるということなので構わないと思います。

www.ouj.ac.jp

 

ちなみに私は人間科学全般のほかに社会科学・経営分野に興味があるので、将来的にもし社会人研究者として(時期的には看護学の博士課程が目途がたった段階で)社会経営プログラムの院にいけるようにしておこうかなあと備えているので、「現代社会の探求」と「人にやさしいメディアプラン」の科目を履修するつもりです。

まあ、そこに強い志向性があったわけではなくて、認定心理士の取得上必要な単位がそこに含まれているからなのですが。

あとは記号論理学とかもちょっとやってみたさがあります。このあたりは本当に自分のキャパシティと相談しながらになりそうです。

 

5.展望と課題

去年一年で学術書の類を200冊ほど読み漁って、やっぱり勉強でもした方が楽しいのじゃないかと思い立って放送大学に入りました。感想としては、生活は大きく変わりません。むしろ課題ができたことでとても楽しいし、精神的に安定したようにも思います。

 

が、上記のとおりひどいスケジュールで試験をこなしたりと、やっぱり仕事のパフォーマンスへの影響を「ゼロ」にすることは無理だと思います。まあ、余暇時間の過ごし方だって(たとえば派手に遊んでしまい翌日疲れるとか)影響はするので、そこはそれ、あまり気にすることはないと思います。思い立った日が吉日なのでいつでも走り出せばいいし、いつでも走りながら修正していけばよいのです。

もちろん目標を修正したいときや見直したいときには立ち止まることも必要でしょうが、漫然となにかをこなすよりはよほど実りがあります。

 

私たち看護師に関してはキャリアアップが難しい職種なので、放送大学で学士取得を目指される方も多いようです。私の場合は、看護学の学士が自分にとってさほど意味をもたなかったためと、その取得のために必要な単位を別の勉強にあてたかったことから目指しませんでしたが、とにかく必要なのは最初の「動機づけ」なんじゃないかなあとつくづく思います。

 

ひとつ学び始めたら他のことも学びたくなりますが、それが発揮される環境を整えることも大切だというのが「社会人」としてのこだわりでしょうか。実らなければ意味がないとは決していいませんし、生涯学習として無為な分野などどこにもありませんが、やはり生産年齢にあるのでなにがしか社会へ還元できる接点を持ちたいと思ったりします。自分の場合はそれが看護学に関して(看護学という名前ではないかもしれませんが)学際分野で研究するという目標であり、実際にものづくりや制度の検討を通して「公共の哲学」そのものに関わりたいという意志かも知れません。

そしてそれには放送大学の科目だけでは成らないことも勿論わかってくるので、余裕があれば語学の履修もちょこちょことはじめていく予定です。忙しいです。楽しいですけどね。

 

さいごに

わたしの意志のすべては臨床の傍らにあります。

この2年で私にこんなにたくさんの臨床について以外の物事を考えさせたのはまさにその病いの床であり、そこで亡くなっていった、またはなんとか生活を維持するまでになられたり、崩壊した生活を立て直して地域社会に帰って行かれた方々の後ろ姿が私を奮い立たせたのだと思います。

2年目はとくに、それらの発奮はむしろ苦痛でしかありませんでした。若い人が亡くなるのも、そこになんの手助けも(しているけれどもじゅうぶんではない)できないという歯がゆさも怒りもすべてが原動力になってくれました。強い臨床での苦痛が私に本を読ませ、学びの場に勝手に運んできました。これに関しては最早自分の意志ですらないといいたいくらいです。

 

彼ら(病者、ないし健康なすべての者)はどこからきて、どこへいくのか、どういう価値観で、何を感じていて、どうやって儘ならない己の身体に向き合い、それを抱えて社会で生きるのかという根源的な問いであったように思います。勿論直接に投げかけられたものではありませんが、これに関しては生涯、自身への問いになり続けるような気がしています。

 

では来期も頑張りましょう!心理統計ェ