1.いのちの生成とケアリング:ケアのケアを考える(丹木博一
ケアワーカー、それも学生向けの1冊。あるいは臨床一本でやってきたひとの振り返りになるような臨床哲学の入り口のような本。
わたしには易しかったというか、ちょっともう読んでしまった感はありましたがおすすめはできるかなと思います。
2.教養としての認知科学(鈴木宏昭)
認知心理学とかでなく、科学。
哲学も含めて認知に対するあらゆるアプローチをざっと概説したような本でした。読みやすいし偏りもなくて、意識とか認知とかその辺りの本を読んだ限りではこれとダマシオの『自己が心にやってくる』 が1番のおすすめのような気がします。
3.人工知能 人類最悪にして最後の発明(ジェイムズ・バラット)
うーんこれは…っていう本でした。今時二束三文のディストピア系SFでもこんなん書かへんわ
4.不平等の再検討ー潜在能力と自由(アマルティア・セン)
- 作者: アマルティア・セン,池本幸生,野上裕生,佐藤仁
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1999/07/15
- メディア: 単行本
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豊かな社会で貧しいことは、それ自体が潜在能力の障害となる。所得で測った相対的な貧困は、潜在能力における絶対的な貧困をもたらすことがある。豊かな国において、同じ社会的機能(例えば、人前に恥をかかずに出られること)を実現するために十分な財を購入するには、より多くの所得を必要とするかよしれない。同じことは『コミュニティーで暮らしていける能力』についても言える。ーアマルティア・セン
引用は結構名言というか今では知られた概念ですよね。長期化する不景気というか経済成長の鈍化と高齢化に伴う弊害という形で貧困が慢性化する。法や福祉の観点を含みつつあくまで経済学的批判が加えられているのが本件の優れている点かなあという気がします(個人的観測の範囲内では遊びで経済やっている人、困窮に対して無理解極まりない方が多かったので)
5.質感の科学ー知覚・認知メカニズムと分析・表現の技術ー(小松英彦)
これは面白かったです!!
CGみたいな情報工学的な部分から基礎の基礎、物理の部分まで含めて質感についていろんな分野から掘り下げます。果ては言語にまで突っ込んでいって、オノマトペの統計とったら勿論認知心理学とかにも及びます。
誰におすすめというとイマイチお伝えしづらいですが、デザインに興味のある方には是非一度手に取っていただきたい。
6.エゴン・シーレードローイング水彩画作品集(ジェーン・カリアー)
- 作者: ジェーンカリアー,アイヴァンヴァルタニアン,Jane Kallir,Ivan Vartanian,和田京子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/03
- メディア: 単行本
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エゴンシーレの映画を観に行ったので読んでみたくなって手に取りました。生育歴自体は映画が忠実だったので絵に集中できたのですが、シーレの色遣い苦手なのに目の強さと構図のダイナミズムは凄く好きです。映画ぜひ見て欲しい。
7.グスタフ・クリムトードローイング水彩画作品集(ライナー・メッツガー)
- 作者: ライナーメッツガー,Rainer Metzger,橋本夕子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/04
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上の映画で出てきたクリムト、クリムト自身も好きなのでぱらぱらと。クリムトの方が時期が古いのもありやや古典的ですが、色遣いは明らかに現代人の感性に近いなあと思ったりします。モチーフが実に女性的ながら、視点は男性のものなのでそのアンマッチ感が妙に不安にさせます…好きだけど。ドローイングはシーレの方が好き。
8.まなざしの記憶ーだれかの傍らで(鷲田清一)
心が疲れると鷲田教授の本を読む。これにも臨床哲学のはなしが出てきます おすすめです。世話をしてきた、されてきたすべての人へ。
9.コモナリティーズ ふるまいの生産(アトリエ・ワン)
日本におけるヤン・ゲール『人間の街』という感じ。人間の街でいいと思う。
10.シェアをデザインする:変わるコミュニティ、ビジネス、クリエイションの現場(猪熊純)
シェアをデザインする: 変わるコミュニティ、ビジネス、クリエイションの現場
- 作者: 猪熊純,成瀬友梨,布山陽介,林千晶,馬場正尊,三浦展,小林弘人,門脇耕三,萩原修,安藤美冬,島原万丈,関口正人,中村真広,田中陽明,ドミニク・チェン,中村航,浜田晶則
- 出版社/メーカー: 学芸出版社
- 発売日: 2013/12/15
- メディア: 単行本
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タイトルからしていささか香ばしいですが香ばしい本でした。いやたまには夢みるのもいいかと思って。タイトル通り、基本はノマドワーカーのシェアリング(空間もビジネスそのものも)についての形態のお話。面白くはありますがこれ読んでためになるかといえば別にならない。面白いけど。