毒素感傷文

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放送大学に興味をお持ちの方へ、社会人編入・全科卒業生からのまとめ

無事卒業できたので、珍しく情報提供メインのブログ記事を打ちます。

自分がやってみての所感も書きますが、一般的に入学を考慮する社会人の方が気になる点を入念に記載する方針です。

 

そして一番最初にお伝えしておくべきことは、何においても「公式がいちばん詳しい」...ということです。このブログはあくまで実際に履修した者の気持ちでしかないので、興味が出てこられたならば最終確認はご自身の目でしていただくのがよいでしょう。

 

お品書き

  1. 放送大学の特色・メリット(とデメリット)
  2. 学費の実際と入学の手順について
  3. 試験までのスケジュールについて
  4. 面接授業について
  5. 履修計画について
  6. エキスパートプランについて
  7. 卒業時点の履修成果
  8. 放送大学で学ぶということ

 

1.放送大学の特色・メリット(とデメリット)

  • 試験・面接授業以外は通学がない

試験・面接授業は基本的に各学習センター(都道府県に最低でも1か所ずつあります)で行われます。そのため、放送・オンライン授業についてはすべて自宅で受講することが可能です。

  • 学費が安い

受講した分だけ受講料がかかります。学部生ですと、面接授業も放送・オンライン授業も1単位あたり5,500円です(放送授業は2単位となることが多いので、11,000円です)。自分の場合は、半期あたり9科目18単位を取り続けて卒業しました(2年間で72単位を取得した計算ですが、3年次編入者は62単位あれば卒業可能です)。

  • 卒論は書いても書かなくてもよい

これはデメリットになりうるといえばそうですが、卒論は全科履修生のみが履修できます(6単位として認定)。そして、履修年度の前年度には申請・研究計画書提出が必要であり、かつ2年間の放送大在学と放送大での62単位修得が必須条件なので、3年次編入者で2年間での卒業を志す社会人には不可能なスケジュールとなります。2年間での卒業を要さなければ、可能です。

  • 時間をかけた単位取得、多様な履修スタイルが可能

これは興味のある方がまず最初に得られる情報かと思います。ちなみのどの履修方法についても10月入学が可能です。

<全科履修生>

入学(初年次、2年次・3年次への編入)と卒業のある様式で、最長10年の在籍が可能です。全科履修生のみ入学時に高校卒業(または見込み)証明を提出する必要があります。卒業時に学士(学位)の取得が可能です。

私は看護専門学校卒業生のため、62単位を単位認定して全科履修生に編入しました。

<選科履修生・科目履修生>

選科履修生は1年間、科目履修生は半年の在籍資格を得るものです。

こちらは高卒の認定の必要がないので手続きが簡単です。

また、取得した単位を引き継いで全科履修生へ入学する(卒業単位として申請する)ことが可能です。

  • 学割がきく

学校法人なので、学生証があればジムや映画館、その他アミューズメント施設で学割がきく可能性が高いです。年齢制限がある場合は不可能ですが...

  • 他大学の図書館などの施設利用ができる場合がある

大学生という身分はなにかと便利です。上記のように学割を使うこともできますし、いざ卒論を書く段になってなかなか有料のジャーナルにアクセスしづらいなと思うときや実資料を閲覧したい場合に、学生証は最大の武器であると思います。実際の利用はまだしたことがないのですが。

 

おまけ

放送大学はちょっと変わった使い方をすることもできます。

それは、入学してから放送授業を聞くだけならタダということです。テキスト料金・単位認定があること前提での料金が1単位5,500円なだけなので、入学さえしてしまえばどの放送授業でも、とりあえず好きな時に好きな回の授業を視聴することが可能です。シラバスを読んでもで実際の難易度がわかりにくいとか、自分の興味と合致するかわからない場合にはこういった手段もあります。単位はいらないけど知識は欲しい方にもおすすめです。

 

 

2.学費の実際と入学の手順について

全科履修生で入学した場合、入学金が24,000円かかります。お試しで科目履修したいという方には、科目履修生(入学金7,000円)または選科履修生(同じく9,000円)がおすすめです。気持ちが固い場合には、全科履修生で最初から入学したほうがお得ではありますが。

また、編入学の場合は単位審査料が必要です(10,000円)。

よって、私のパターンのように初回編入学+9科目履修登録した場合、入学時のみ133,000円かかります。あとの授業については、履修した分のみの費用です。

 

時系列の動きとしては

入学したい学期の前までに(3月20日・9月20日くらいが例年最終の締め切りです)

・高校卒業証明書取得

・前大学・専門学校での単位取得証明(編入学の場合)

を揃えます。

そして放送大学から入学申請に必要な願書を取り寄せます。詳しくは下記リンクにありますが、この際に所属コースを選ばないといけません。全科履修生の場合は卒業のための必要単位として、自コースからの取得最低単位数があります(34単位)。あまり興味のないコースを選ぶと、卒業のために興味のない科目を取らなければならなくなってしまうので要注意です。

www.ouj.ac.jp

 

 

3.試験までのスケジュールについて(放送授業の場合)

というわけで実際に入学した場合の予定のシミュレーションです。

単位認定試験は学部の場合7月末~8月頭、1月末~2月頭です。

試験場所は各都道府県学習センター。

ですが、認定試験までに通信指導という中間考査のようなものがあります(6月初旬、11月下旬ごろ締め切り)

記述式以外は郵送またはオンラインでの提出が可能で、郵送はちょっと面倒なのでオンラインをお勧めします。情報学関連科目ではオンラインのみの提出の科目もあります。詳しいスケジュールは下記へ。

www.ouj.ac.jp

これを働きながら実施する場合には、単位認定試験そのもののスケジュール調整が必要となってきます。認定試験は複数科目を同じ時間に実施しますので、重複した場合は片方しか受けることができません。よって、社会人学生ですと履修科目を選ぶ際に前もって試験スケジュールまで考える必要があります。

 

初年度初学期はスケジュールまで考える余裕がなく、また夏休みを使えばなんとかなるだろうと思っていた自分を参考例として下記に供出します。ひどいもんでした。

streptococcus.hatenablog.com

学習の動機や履修方法についても少し書いていますので、本格的に入学を検討されている方は参考程度にお目通しいただければと思います。

 

そしてここまで書くとおわかりであるかと思いますが、たとえ放送授業であってもたくさん科目を取ると結構忙しいです。

看護の学位のみを必要とする方のようにほぼ既習の科目をたくさんとる場合はまだしも、仕事の傍らに知らない分野を(テキスト・放送授業で)履修し、通信指導を提出し、半期ごとの単位認定試験を通すのは履修計画上の困難を伴います。ご利用は計画的に。

 

4.面接授業・オンライン授業について

全科履修生の場合、卒業までに「授業形態にかかわる単位数(20単位)」もとる必要があります。自分の場合は専門学校卒後編入しておりますので、編入時単位認定の際にこれはクリアしております。

面接授業:各学習センターが開講する授業(専用冊子が必要です)

オンライン授業:1時限ずつ受講し、レポートを提出するスタイル。私は受けたことがありません(すみません…)学部ではあまり多くないスタイルですが、全国的なe-learningの敷衍によって今後放送大学でも増えていく気がします。大学院はわりとオンライン科目が多いです。

 

5.履修計画について

試験時間・学習に必要な時間というたての軸と、達成目標という横の軸が必要かと思われます。縦の軸については3で申し上げたように、自分の仕事が許す時間を逆算して試験時間の割り振りから科目を選ぶことです。そして横の軸は、何年かかけて達成したい目標がどこにあるのかを定めてそれを並行で達成することです。

 

というわけで自分のとりうるパターンを例として出します。

<看護師の場合>

看護学の学位だけが欲しい(短大・専門卒)の場合、自分の所属していた学校の単位内容・単位数を確認したうえで放送大学へ2年または1年在学し、必要科目を62または31単位以上履修すると学位授与機構への申請・審査のうえ学位取得が可能です。

ちなみにこの「または」というのは区分の違いによるものですので、自分の学校に単位取得内容を申請・取得したうえで学位授与機構が発行している「学士への途」を入手し、自分がどちらの区分に該当するか調べる必要があります。31単位というものの、半分(16単位、うち2単位は必ず看護の科目から)は自分の専門分野(医療・福祉・臨床心理系科目)の修得が不可欠です。が、最短ルートで学位のみを取得することも可能です。合計16科目なので、場合によっては1年で取得できます。詳しくは下記へ。

 

学士取得のための手引き(看護学)ー放送大学

http://ouj-dp.web-creek.com/pdf/2018-1j.pdf


 

<自分の場合:看護専門卒(第2区分)が、看護学と教養の学位取得と認定心理士の取得を目指す>

さらに自分は認定心理士の取得をサブ目標のひとつとしていたので、心理科目の取得が直接卒業認定科目につながるよう「心理と教育」コースに所属しました。

 

認定心理士取得の手引き(放送大学

http://ouj-dp.web-creek.com/pdf/2018-1j.pdf

 

ここに記載されている認定科目を取得しながら教育・心理コースの科目を網羅していきました。とはいえ教育と臨床心理にはそこまで興味がなかったので、認知心理系を含めた必要最小限を取得します。これで必要単位はたしか37単位分(認定心理士には1単位換算されてしまう副次主題科目というものがあります、放送大学としての単位は40単位くらいとりました)ほどになりました。では残り30単位分はどのような興味に沿って取ったか。

 

6.エキスパートプランについて

エキスパートプランというのは、コース選択以外にもある主題において関連する科目を履修できるよう、コース横断的に科目を履修するナビゲーターのようなものです。

実際にみていただいたほうが早いです。

https://www.ouj.ac.jp/hp/gakubu/expert/assets/pdf/expert_04.pdf

こちらを穴が開くほど見つめたのち、自分がこれまでに取得してきた単位に加えて好きそうな科目が加わっているカリキュラムを探します。

ちなみに「心理学基礎プラン」は認定心理士のほうがさらに上位に位置するため最初から認証を得るつもりはありません。

 

私の興味と一致して、かつ履修内容が現実的であったのは

現代社会の探究」「人にやさしいメディアのデザイン」「社会数学」「計算機科学の基礎」「データサイエンス」…などでした。

これらとふたつの学位、認定心理士を横軸として超贅沢に科目をとります。もちろん仕事はしているので、仕事に合わせた試験しかとれません。

 

7.卒業時点の履修成果

とりあえず一旦卒業するので、「教養(学士)」は自動的に達成です。

そしてほかの目標と、達成できなかった要因と残り科目について。

 

スケジュールがあわなかったためにあと1単位の面接授業(心理学実験2)がとれず、延期です。

 

  • 学士(看護)(未達成)

残り3科目です。科目を取り出したのが遅かったのもあり、試験日程が仕事と合いませんでした。

 

  • エキスパートプラン
  1. 現代社会の探究(達成)
  2. 人にやさしいメディアのデザイン(達成)
  3. 社会数学(未達成)
  4. 計算機科学の基礎(未達成)
  5. データサイエンス(未達成)

 

エキスパートプランについてはおまけのようなものなのですが、とり始めると関連科目が意外と楽しく、3-5まで残り科目を履修することになりそうです。ちなみに3.4.5はそれぞれ重複する科目が多いので(エキスパートプランはままあります)、学習動機としては使いやすいです。

 

8.大学で学ぶということ

随分とテクニカルな部分についてばかり書いてきましたが、そもそも大学で学ぶ動機は多様です。自分の場合は、途中にあげた2017年の記事に詳しく書いておりますが、日々の仕事と少し離れた(しかし遠くで関連はしている分野の)勉強がしたいと思ったのがきっかけです。

 

社会人として生活をしていると仕事で忙しく、どうしても智を愛する姿勢から遠ざかってしまいます。この記事には時間と単位の関係ばかり書いてしまいましたが、学びの内容や方向性は人それぞれ。開く教科書も十人十色であることでしょう。

ただ、私が読んできた教科書についてはそのほとんどが非常にたくさんの関連学習を促し、豊かな読書案内を備えています。この点においては、放送大学であっても他大学であっても目指す成果は同じところにあるのではないでしょうか。科目を単に履修するのみでなく、生活や仕事の世界・ニュースや旅行などで見聞きする世界の中に課題を発見し、自ら解決方法を模索する(そして解決方法が難しければほかの書籍をあたって方法を探る)力を養うには、教科書だけでも足りなければ放送授業だけでも足りず、またその力は単位認定試験によってのみ測られるものでもないと自分は思っております。

 

生涯学習を謳う大学ですから、いち市民として考え模索する手助けができるようカリキュラムが用意されています。勿論、どのような活用方法をとったとて自由な(そしてそこが魅力の)大学です。自分のキャリアの足しにするにしても市民としての良識を涵養するにしても、門戸はひろく開かれております。放送大学open university of Japanですので、学びたいと思う人には智を提供してくれる場です。2年間という短い期間ではありましたが、存分に楽しむことができました。

 

締まりのない終わりになってしまいましたが、ご興味をお持ちの方にとって少しでも放送大が魅力的に映りましたら幸いです。

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。