毒素感傷文

どうしようもなく感銘を受けてしまう日々のあれこれについて。

100冊読破の中から超絶コアなオススメ10選

すごく人に勧めたい、或いは自分はとても感銘を受けたけれども、とてもじゃないが万人にはオススメできない10選。

 

1.システムのレジリエンス さまざまな擾乱からの回復力(
情報・システム研究機構新領域融合センターシステムズ・レジリエンスプロジェクト)

 『レジリエンス』について考えていたときに検索したらひっかかって、なんとなく買ったのですが確実に求めていたレジリエンスとは違った。

ただ、めちゃくちゃ面白かったです。

副題にある「擾乱からの回復力」、とても自分にはこたえる話でした。いっぱいいっぱい(この場合組織なので予算や組織的な体力)で迎える災害・伝染病を含むあらゆるリスクには確かに脆弱にならざるをえない。じゃあ靭性・弾力のある組織ってなんだ?というとき、正直自分にとってドラッカーの『マネジメント』と同じくらい参考になった本です。そんなに高くないし、ぺらいですが内容は濃厚です。

新型インフルエンザ、3.11の話とかも出てくるのでご興味ある方はぜひ。

 

 

2.ブラックホールを見つけた男

ブラックホールを見つけた男

ブラックホールを見つけた男

 

ブラックホールの存在について天体物理学的に証明した(観測したのは別のひと)、インド人の研究者チャンドラセカールの伝記(?)です。

数学・物理学が全然できないので読めるかなあと心配ではあったんですが無理ではなかった。ただ全編通してめちゃくちゃ暗いというか業界のYAMIを垣間見るどころか全面に押し出されているので、研究室でイタい目に遭った人にはおすすめできません。 

 

 

 

3.知覚の現象学(モーリス・メルロ=ポンティ

知覚の現象学 〈改装版〉 (叢書・ウニベルシタス)

知覚の現象学 〈改装版〉 (叢書・ウニベルシタス)

 

フッサールの『現象学の理念』を読んでさっぱりわからなかったので読んでみました。

読んでみました、というにはあまりにも重い、あまりにも高い。重さ1kg、値段8000円・・・。

が、中に書いてあることは本当に素晴らしくて、まず近くに関する神経学的・生理的考察からはじまり皮膚感覚や五感に話は及びます。自分は、自分と同じ業種の人ならたぶんわかってもらえる話ばかり書かれていると思うんですが如何せん敷居が高すぎる。 

 

 

4.波紋と螺旋とフィボナッチ(近藤滋)

波紋と螺旋とフィボナッチ

波紋と螺旋とフィボナッチ

 

分子生物学の本です。ただめっちゃ読みやすい。

もともと違う研究をしていた著者が、魚や動物の「しま模様」の発現の規則性と変容について発見するという話。ブログに連載されていたものを書籍にまとめたものです。

アラン・チューリングとか寺田寅彦出てくるのに最終的に答えを授けてくれるのは大阪のおばちゃん・・・いや何を言っているのかわからないと思いますが、実際に熱帯魚を家で飼うことになるんですよね。たぶん今回挙げた本のなかで一番読みやすいと思います。そして面白い。科学とか数学が苦手な人にこそ読んでほしいです。

 

 

 

5.ジェントリフィケーションと報復都市(ニール・スミス)

ジェントリフィケーションと報復都市: 新たなる都市のフロンティア

ジェントリフィケーションと報復都市: 新たなる都市のフロンティア

 

これはほんっっっっっとうに誰にもオススメできないんですけど、自分の中ではとても大事な本です。 誰得っていうか俺得。

デザインだけでなくて社会そのものというか都市そのものについて印象を持ち始めていたので、とにかく都市論について読んでみたかったんです。TSUTAYAにあったものを図書館で借りました。買うと5000円くらいした気がする。

東京や京都という街を構成する要素を考えるにあたって何が必要かを得るためにこれを読んだのだけど、土地自体は1960-80年代にかけてのアメリカのごく一部地域についてなので想像するのは難しい。ただ、報復都市;都市はかつてみた繁栄の夢を見ること、ジェントリフィケーション;ある固定の階級による締め出し行為が起こること、についてはかなり考えることができる良書でした。実際東京でも、京都でも起こっていることだし。都市の新陳代謝については後述に紹介する本で。

 

 

 

6.正義論(ジョン・ロールズ

正義論

正義論

 

これも本としてはめちゃくちゃ分厚いです。本当に重かった。なんでこんなの読んだかな。多分ほかの哲学関係の、特に法律が出てくる本だと必ずロールズの名前が出てくるのでいっぺんいっとかなあかんかな、と思ったんですよ。

実際に読んで何がよかったかというと、社会制度というか法学に興味を持てたことかもしれません。もともとなかったわけではないのですが、難しさというか法における正義をあまり信じていなかったんですよね。功利主義的な人間なので、むしろどちらかというと経済活動にそれを見出していました。だからタイトルのこともあって『利己的な遺伝子』も読んだのですが。

ところがそれだけでは社会活動って説明がつかなくてやきもきしてしまって、社会契約説の中でも源流のわりにはロックとかよりは読みやすそうなこちらにしたのです。

オススメはできないけど、好きな本です。ロールズの真摯さというか、人間存在(とくに集団)における均等と平等がよくあらわされています。

 

 

 

7.インフォメーション-情報技術の人類史(ジェイムズ・グリック)

インフォメーション―情報技術の人類史

インフォメーション―情報技術の人類史

 

これはむしろ勢いあまって万人におすすめするところでした。

めっちゃ分厚いです。というかまず、話がアフリカのトークンドラムから始まるのめちゃ面白いです(トークンドラムは言語学的にも結構重要視されている)。言語学記号学・情報通信の分野に興味があったので読みました。まァ攻殻機動隊好きですから。

通信革命というか電気通信が始まる直前くらいの話もかなり面白いですし、大戦中の暗号機の発明・解読に関するやりとりはめっちゃ面白い。

ちょうど映画で『シチズンフォー』、本では『虐殺器官』を読む前後だったのでたいへん面白かったです。情報を制するものは世界を制す。

 

 

 

8.音楽する身体―“わたし”へと広がる響き(山田陽一)

音楽する身体―“わたし”へと広がる響き

音楽する身体―“わたし”へと広がる響き

 

オススメではないのですが自分の中で大事な一冊。

音楽を続けるにあたって、「なんで『自分が弾く』のか?」というのは常に問いとして自分の中にあるんですよね。楽しむだけなら、聴くだけのほうがよほど楽なのに。なぜ弦楽器を、ひとと弾くものを、ずっと続けるのか。勿論答えは昔から持っているんですけど、この本で裏付けしておいて、そしてそれ以上のこの本なかなか攻めたことまで述べているんですよ。まあ詳しくは中を読んだ人とだけ共有したい。あるいは飲み屋で語らいたい。

 

 

 

9.殺戮の世界史:人類が犯した100の大罪(マシュー・ホワイト

殺戮の世界史: 人類が犯した100の大罪

殺戮の世界史: 人類が犯した100の大罪

 

これもオススメできない本筆頭。本当はスティーヴン・ピンカーの『暴力の人類史』をお勧めできたらよかったのですが、残念ながらまだ下巻を読めていないのです。

『銃・病原菌・鉄』なんかを読んでいると、人類は本当に戦ってばかりなんですよね。敵意、害意、暴力、虐殺、殺戮、権力ってなんだ?っていう問いが自分の中にあるので、つまり平和的解決を望むとかそういうこと以前に「それはなんだ?なぜあるのか?どのように行われ、どのように頽廃したか?」ということを問いたいわけです。この本も、全編通して女性への暴力(つまり強姦)なんかも本当に悲惨なものがあえて「数」として定量化されているわけです。人権を語ったり人名を語るのであれば、それが蔑ろにされる様式についても知っておきたいなーと思って読みました。結構面白いです。ただ電車の中とかで読んでいたのでドン引きされていることうけあいです。そしてこれもとても分厚い。

 

 

 

10.RePUBLIC 公共空間のリノベーション(馬場正尊)

RePUBLIC 公共空間のリノベーション

RePUBLIC 公共空間のリノベーション

 

 ジャレド・ダイアモンドの『昨日までの世界』と迷ったのですが、あれは『正義論』と『殺戮の世界史』を足して二で割ったような部分がなきにしもあらずなのでこちらにしました。たぶん、10冊の中で2番目に読みやすく、そしてデザインに興味がある方ならもっとも読みやすい本だと思われます。

都市デザインに関する本です。が、結構まじめでエリアリノベーションに関して阻害因子になる法律・要素を図式化したりと読みやすくまとめられています。わたしゃアホなので視認性のいいものに弱いのです。

実際中に述べられているものは実に先進的で、この少子化時代に学校の一部を開放することで空間をシェアするとか、オフィス街の公園に店を出すとか、そういった都市におけるジェントリフィケーションの逆が行われていくわけですよ。それがとても面白いというか、再生するにしても再生の仕方は都市の性格に合わせて行われるべきだと思っているので読んでいて実に痛快なのです。これは日本の本なので、日本の都市で実際に行われたことが書かれています。

 

 

 

番外:裸性(ジョルジョ・アガンベン

裸性 (イタリア現代思想)

裸性 (イタリア現代思想)

 

これは・・・まあ・・・私のことをご存知の方ならばよくおわかりいただけると思うのですが、是が非でも読まねばならないと思って読みました。

実際自分がどうして身体パフォーマンスにこだわるのかよくわからないというか、むしろただのテロル的パフォーマンスは嫌いな方なのですが(嫌いすぎて『肉体のアナーキズム』とか読みました)、美学ってどこにあるんだろうと思って戸惑いがあったので。つまり実践先行型だったんですよね。

児童向けの哲学の本である『ソフィーの世界』を読んでいると、いちばんはじめの手紙が『あなたはだれ?』『世界はどこからきた?』から始まるのですが、この『あなたはだれ?』にこたえうるものが身体パフォーマンスなんだとなんとなく自分は思っています。

まあこのあたりの話は喋り出すともう一本記事が書けてしまうのでやめておきます。

ジョルジョ・アガンベンいいですよ!

次は『ホモ・サケル』という本を読もうと思っています。

 

 

 

というわけで、この本の羅列だけ見たらこいつの頭はどうかしているとしか思ってもらえなさそうですが、どちらかといえばどうかしていることにほとほと本人も困り果てているからこういう本を読みたくなるんです。

次の100冊もガンガン読むやで。