毒素感傷文

どうしようもなく感銘を受けてしまう日々のあれこれについて。

100冊読破(61-70)

なぜか今回は堅苦しい本ばかりになりました。哲学ばっかりや。

 

1.メディア論-人間の拡張の諸相(マーシャル・マクルーハン

 

メディア論―人間の拡張の諸相

メディア論―人間の拡張の諸相

 

 古い本ですね。前に読んだグリックの『インフォメーション-情報技術の人類史』の、近代に時代を区切り、かつその時代の変遷のただなかにあった人のもの、という感じです。一読はしましたが2度は読まない気がするなあ。

近代文学をやったりとかするには良いかもしれない。熱いメディアと冷たいメディア、要するに情報伝達の手段としてどれだけの人間と相互作用的であるか、タイムリーであるか、情報伝達量(届く先)が多いかで定義されているように感じましたが、読み違えている可能性が大いにあります。あまり楽しめなかったのです。

 

 

2.法と経済学(スティーブン・シャベル)

 

法と経済学

法と経済学

 

ロールズの『正義論』を読んだあとなのでいいかなと思って読んでみました。凶器みたいな重さの本。楽しかったのだが楽しさが楽しいと伝わらない可能性が高い。法律とは、量科したり制約するものであるのだけど、個人的な道徳と間反対になるときない?ってずっと思っていてですね。

医療の介入とは本質的に個人の身体性に侵襲的なものであるのに対して法の介入とは個人あるいは集団、組織への振る舞い(社会性)に対して侵襲的なんですよね だから法曹の資格も医療資格も国家資格なんやなと当たり前ながら思ったり。個を護るということは即ち個を個体自身の侵襲性から護ることであるのやなと。

面白かったのは2章の事故法と最終章の厚生経済学についてなんですが(最終章のためにこの本借りた)、事故法みたいに責任を負いきれないとか個人でリスク回避する場合の任意責任保険みたいなやつ、あまり好きになれていなかったのでこれを読んでおいたのはよかったなと思います。社会福祉を維持させるのは経済であり法なんですよ。その部分を理解せずして医療に携わることがむず痒かったのでまあいつかはぶち当たらなきゃいけない壁だったのですがぶち当たってみると案外心地よかったという話ですね。

 

 

3.主体性とは何か?(ジャン=ポール・サルトル

 

主体性とは何か?

主体性とは何か?

 

ジル・ドゥルーズの『千のプラトー』を読んだへろへろの頭で読んだので、いまいち入ってこないというか基本が対話の録音なので小説のような感じで読みました。因みに中身も複数のテーマについて検討するという形式のもので、サルトルがいまいちどんな人なのかわかっていない自分にはキツかったかも知れません。

けど、メルロ=ポンティ『知覚の現象学』なんかにも書かれていたようなことがさっくりとまとめられていたのは大変ありがたかったです。もうちょっと読まねばわからんなという感じですね。

 

 

4.猛スピードで母は(長嶋有

 

猛スピードで母は (文春文庫)

猛スピードで母は (文春文庫)

 

 

ちょっと苦手な本でした。ぺらい文庫ですが芥川賞受賞作らしく、家族が貸してくれました。衝動性があってそれを言語化しない女性、見ていて不安になるからきらいだ。

 

 

5.千のプラトー-資本主義と分裂症(ジル・ドゥルーズ、フェリックス・ガタリ

 

千のプラトー―資本主義と分裂症

千のプラトー―資本主義と分裂症

 

ドゥルーズの『差異と反復』を先に読むべきやったかも知れません。様々な事物について論考していく章立て形式なので、全然わからない章もあれば楽しく読める章もあり、という感じでした。特に最後の方になって面白くなってきて、ノマドとか歴史における暴力性についてのくだりは結構文化人類学っぽい切り口なのでもう一回読んでみるのも良いかも知れない。ガタリとの共著に名作が多いようですが、それだけ対話による論考の敲きがいいんだろうとなんとなく思ったり。

 

 

6.プシュケー 他なるものの発明(ジャック・デリダ

 

プシュケー 他なるものの発明(I)

プシュケー 他なるものの発明(I)

 

『差異と反復』の前置きにできた気がします。

デリダを人に勧められて、タイトルだけは知っていたので読みました。基本構成は先の『千のプラトー』みたいな感じで、内在から外在、つまり歴史や社会について論考する内容に変容していきます。でも千のプラトーよりもわりと詩的というか感覚的で、『知覚の現象学』に近いものを感じました。

最後の方に、人種差別と冷戦についての話が出て来るんですが、そういうの読むと当たり前ですが歴史というか時代背景あっての思考・思索なんやなあと思わされます。近現代の歴史わりとガバガバなのでちゃんとやらねばなと思わされましたです

 

 

7.何者(浅井リョウ)

 

何者 (新潮文庫)

何者 (新潮文庫)

 

本屋でみかけて、ちらっと読んで、ああこれは読まなくてもいいや…と思っていたのに家族から借りてしまったので読みました。直木賞受賞作ですね。これから映画も公開です(絶対に観に行ってやらないからな)。

 

確かにSNSが当たり前になってしまうと、今度はSNS上の振る舞いが上手くなってしまって本作に出て来るようなぎこちなさや下手さはなくなるのですが、使い慣れていなかったらこうなるのかも知れませんね。何より、本作を通して痛烈に批判されていたのは就活という行為の間抜けさでもあるとは思います。しかしそれすら満足にできなくて苦しい時期が、必ずくる。そんな感じの本でした。作者が若いので文章も決して上手くはないし、クサいし、なんなんだと思うんですが選んだテーマはとても現代らしくていいのかなあと思いました。

 

この人の本はクサい。

 

 

8.差異と反復(ジル・ドゥルーズ

 

差異と反復

差異と反復

 

こっちを、千のプラトーより先に手をつけたらよかったなと後になって思いました。

スピノザにはじまり(あとで知ったのですがドゥルーズスピノザについての博士論文を書いていますね)、フロイトに至るまでの認知心理学(当時そういう言葉はなかったでしょうが)の軌跡について的確にまとめあげると共に、時間のもつ性格や方法論の提示という感じでした。難しいですが真面目というか全編通して適切であろうとするがゆえの難しさだったのでひねくれずに読めた気がします。

 

 

9.スピノザジル・ドゥルーズ

 

スピノザ―実践の哲学

スピノザ―実践の哲学

 

スピノザの本がさっぱりわからないので、読んでみました 奇しくもドゥルーズの本ばかり読んでいるようです。

スピノザの『エチカ』を読もうとしたらまず神学についての記述があって最初から心が折れたのですが、ドゥルーズスピノザに対する愛が溢れる一冊でした…無神論者なんて呼ばれてるのびっくりしますわ、スピノザ。そうなのかしら。

 

 

10.形態デザイン講義(内田廣)

 

形態デザイン講義

形態デザイン講義

 

めっちゃ面白くてすいすい読んでしまいました(他に読んでいる本がめっちゃ読みにくいので余計にかも知れない)。東大での講義の記録です。けど、ここに出てくるものが結構ひとつひとつパンチがきいていて、建築物の解説や構想の話というよりは都市計画や都市論、そこに住む人たちによるユーザビリティの問題なんかをはらんでいて本当にいい本でした。

どんな人にならオススメできるやろうか。

どんな人にもオススメしたいですけどね。