毒素感傷文

院生生活とか、読書の感想とかその他とか

100冊読破(11-20)

1.ブラックホールを見つけた男

 

ブラックホールを見つけた男

ブラックホールを見つけた男

 

全編を通して重たかったです。

天文学に明るくないもので、ブラックホールのような可視光線を発していない天体がどうやって発見されたのか、また観測される以前から仮説として既に存在を指摘されていたことすら知りませんでした。

天体物理学の領域が数学と量子力学いずれからも遠ざけられており、なおかつ双方の助けを必要としていたこともよく知らなかったもので、なかなかに斬新でした。

『病の皇帝』では自分が属する領域の発展を追うことになりましたが、この本では領域外のことへの興味を持たねばなと思わされました 面白かったです。あまりお勧めはできませんが(なにせ重たいので。物理的にも内容としても)

 

 

 

2.京都 影の権力者たち

京都 影の権力者たち

京都 影の権力者たち

 

古本屋で見かけて気になったもので。

なかなかよかったです。特に好きだったのが家元と、花街の話で。

京都の嫌味な側面は肯定されて欲しいと思っているので、この本はようござんした。

 

 

 

3.吾輩ハ苦手デアル 

吾輩ハ苦手デアル (新潮文庫)

吾輩ハ苦手デアル (新潮文庫)

 

赤裸々なエッセイですがそんなに心には響かなんだ。さくっと読めて人間の哀愁を感じたいときには手軽な本。

 

 

 

4.般若心経講義

般若心経講義

般若心経講義

 

青空文庫様様です。

宗教に興味を持ちながらその中身を知るに至らずでここまできてしまったので、ちょこちょここういうのも読んでいきたいです。

 

色即是空、空即是色。

色即是空は世の人々が悟るべきことなのかも知れませんが、悟るのち空即是色というまるで還俗にも似た感覚まで戻ってきてようやくひとつの真理になるのはわりと新鮮でした。

 

 

5.虹の解体

虹の解体―いかにして科学は驚異への扉を開いたか

虹の解体―いかにして科学は驚異への扉を開いたか

 

ドーキンスにハマりすぎちゃうか説。

まあそれはいいとして、なまくら宗教がきらいなたちとしてはよかったです 科学があることで神秘性が損なわれるとかいうひとそんなにいるのかなあとか思ったんですけど、身を置いている場所が場所だけにあまりお目にかかれないだけかも知れません。利己的な遺伝子よりは読みやすいですが、真髄はやはりあちらですね。

 

 

6.ガルブレイス現代経済入門

ガルブレイス現代経済入門―ほとんどすべての人のための (1978年)

ガルブレイス現代経済入門―ほとんどすべての人のための (1978年)

 

こちらも古本屋で購入したものです。すみません安いとついなんでも買ってしまう…

経営についてこないだマネジメントを読んだので、今度は経済の本も少し読んでみたいなと思ったのです。以前資本論は少しだけ読みましたが、最早古典に近いものですから、哲学に入り込んでいる気がしまして。現代の経済ってどう読んだらええんや?と思って、古めですが、買ってみたわけです。

 

質問に答える形式で内容が展開されますので、初心者にはまあまあよかったかなという気がします。内容的には目新しいものはそんなになくても、少なくとも中学生くらいのとき教わった内容が間違ってはいないことが理解できればそれでよかったです。

 

 

7.音楽理論と実践の基礎

ラモー氏の原理に基づく 音楽理論と実践の基礎

ラモー氏の原理に基づく 音楽理論と実践の基礎

  • 作者: ジャン・ル・ロン・ダランベール,片山千佳子,安川智子,関本菜穂子
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2012/07/31
  • メディア: 単行本
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正直言いますと初心者にはまっっっったくお勧めできません、意味不明でした。私の頭が悪いだけかも知れませんが。

日頃楽器を練習する中で不思議に思っていたことや、指導されるけれども根拠のわからなかったことについてはかなりここにヒントがあって、その点はひじょうによかったです。

もうちょっと音楽そのものに馴染み深い本を選ぶべきだったと反省しましたが、この本を本屋で見かけてからずっと欲しいな思っていたので読めてよかったです。折に触れて手に取りたい本。

 

 

 

8.ピスタチオ

ピスタチオ (ちくま文庫)

ピスタチオ (ちくま文庫)

 

小説読むのかなり久しぶりでした。よかったです。好きな作家がいつでも心に響くというのはなんだかよいものです

 

HIV、動物の腫瘤(子宮筋腫かな)、ウガンダにおける呪術のはなしが出てくるのですが、それを取り巻く価値観がほんとうに好きです。どんなに社会的、科学的、宗教的な要素を取り入れてもこの人の書く文章は個人の実存に依拠しているんだなあと思うことがあるのです。

 

 

9.ヴェクサシオン 

ヴェクサシオン (新風舎文庫)

ヴェクサシオン (新風舎文庫)

 

ふとタイトルが気になったのでこれも古本屋で手に取ったものなのですが、ヴェクサシオンってサティの曲やったんですね。知らなかった。そしてこの新井氏についても初めて知りましたが、全編通して村上春樹っぽかったです。けど、どちらかといえばこちらのほうが体へのなじみのよい文章であったように感じました。映像とか作詞をされるひとの文章ってどことなく視覚以外の情報が豊かでいい。

 

 

10.子どもの隣り

子どもの隣り (角川文庫)

子どもの隣り (角川文庫)

 

恥ずかしながら初めて灰谷氏の本を読みました。以前から読みたいなと思っていましたがはや10年。けど、これはこの時期にならないと理解できない本であったようにも思います。

なんちゅうかこう、思春期の子どもの気難しさに触れたくなりました。みんな丸くなっていけない。