毒素感傷文

どうしようもなく感銘を受けてしまう日々のあれこれについて。

銃・病原菌・鉄

 

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
 

 

 

 

 少しは読書もします。(少しは!)

 読了した家族から強い勧めがあったので手を出しました。自分の専門分野に直接関わりのないと思われる、学際的な本も読んでおきたいのです。どの学問にも精通していないというのは丸腰で居続けるようなものでいつも心細い思いがあって、遅蒔きながらも手を出す本を増やしたいと願う日々。

 しかし文学(国内・国外問わず)にも親しみというほどの親しみもなく、本という媒体は斯くも人の心を乱すものかと時々うんざりします。いつも知らないことが恐ろしい。

 

 さて、本編ですが、基礎学問がどれも適当である自分にとってはかなりしんどかったように思われます。あ関西人です。

 せいぜい日本史・中国史・ローマ史くらいしか詳しく調べたこともなく、本編に詳らかな東南アジア・オーストラリアや、インカ・アステカ帝国、増してアフリカ大陸の歴史なぞカルタゴとエジプト止まりの人間には、まず地名がつらいんですよね。

 ナミビアってどこ?ウガンダ・・・あ、ブルンシの近く?とかそういうレベルだったり、オーストロネシア語が・・・と言われても、そもそもどの言語がどのくらいどの地域に散在しているか知らない身には読み進めるのがとにかく大変でした。地理なんかも、国の場所だけでなく気候や高低差も頭に入っていたらもっと違った見え方だったろうなと。

 しかし著者も訳者も本当に根気強く何度も同じ説明をしてくれるので、「なんとなく」結論・結論に至る経緯が頭に入るんですよね。

 

 この本を読んだら、高校の世界史の授業、或いは大学で専門的に学ぶにしても、「西洋的な視点」というのは完全に根付いてしまっていて、取り去るのが如何に難しいか、よくわかります。授業でなくても、ニュースに対して叫ばれる『偏向報道』というレッテルもまた奇妙な定義なのですよね。

 ニュースは学問ではありませんから、科学的検証や研究による「問い」はそこにはありません。ただの事実です。

 日本で報道されるのであれば、「日本にとって有益な、または害を為す恐れがあるので、知っておくべき」事実ということになるのでしょうか。日本が日本である以上、そこは避け得ないバイアスなんですよね。

 問題は日本にとって本当に必要なバイアスであるかどうか疑わしい場合があるからです。これがいわゆる偏向報道だとしたら、「偏向」自体全てを取り払ったときどうなるかというと、恐らく大半の方が自分の知りたい情報に辿り着けず情報の海で溺死することになるのでしょうね。インターネット社会に精通している人はまだしも、そうでない高齢者や、器質的・機能的疾患を抱えていてネットに触れられない人なんかは特に。

 そういう目的の区別なしにはメディアを扱うことはできませんから、「テレビはダメだ」「雑誌はダメだ」という発言を見かけるたびに「じゃあなんでダメなの?本当にネットだけに頼ったらどうなるの?」という問いの答えを探してしまいます。大体建設的な意見は見つかりませんけどね。

 

 けれど、この本を読むと自分の素地がそもそも西洋文化的にカスタマイズされていることに嫌でも気付きます。いつでも戦争の火種があると思われている中東ですが、本当に戦争の火種があるのは西欧諸国ですし。いまや本国ではないところで主張の対立が起こるようになっちまったんですね。

 

 無知を晒したところで疲れてきたのでおしまいにします。